視聴回数37,411回
※ 視聴回数は1日1回更新されます。事故や災害で大切な人を亡くした遺族の喪失感を疑似体験するプログラムがあります。一体どのようなプログラムなのでしょうか?
この“疑似喪失体験”プログラムを開催しているメンバーは、東北学院大学の金菱清教授と、東日本大震災を経験した高橋匡美さん。
震災から7年、月日がたつことで実感のない人が増えてしまう――このプログラムは、あの記憶が風化して他人事にならないように、自分の事として実感するために大切なものを失う体験をするというものです。
どうやって疑似的に喪失体験をするのでしょうか。参加者には、水色、黄色、緑色、ピンクの4色の紙を3枚ずつ、計12枚が配られます。
水色には形のある大切なもの、黄色には大切な思い出、緑色には将来の夢や目標、ピンクには大切な人の名前をそれぞれの紙に書き、裏にはその理由を書きます。
書き終わると、高橋さんは震災について自らの体験を語り始めます。この話に合わせ、参加者は紙を順番に破くよう指示され、これをくり返し大切なものが減っていきます。ただ破くだけではなく、ぐしゃぐしゃに握りつぶして捨てるよう指示されることもあります。
大切なものから何を切り捨てるのか…葛藤が生じます。そして、残った最後の1枚を強く握りしめ、細かく破ってしまうのです。参加者の多くは、最後に家族の名前が残るといいます。金菱教授はこう話します。
「当たり前のものは大切なものとして認識されにくい。災害は当たり前が失われていること。疑似的なものでもいいから喪失を体験して、災害とはこういうものだと感じるのが重要」