神奈川県が“無花粉スギ”を開発したワケ

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 スギの雄花が茶色に変色しているのは、花粉が飛んだ証。本来、花粉症のピークは2月からだが、この時期に暖かい日が続くと花粉が飛ぶことがある。こうした花粉を少しでも減らそうと、“花粉が出ないスギ”が開発されている。
 スギは木の先端部分に雄花と雌花がある。花粉が詰まった雄花を潰してみると、通常のスギからは黄色い粉がでるが、無花粉スギからはでない。無花粉スギは、1992年に富山県で発見された。その後、無花粉スギの生産に関する研究が各地で進められたが、種による実用化を全国で初めて成功させたのが神奈川県だ。
 無花粉スギの生産の仕組みとは、無花粉スギの母親の遺伝子と通常のスギの父親の遺伝子を掛け合わせると、1対1の割合で無花粉スギができるというものだ。2010年に行われた全国植樹祭で初めて無花粉スギの植樹が行われ、花粉症対策への期待から、神奈川県の技術は全国各地に普及した。
 神奈川県は横浜、川崎という大都市を抱えながらも、県の40%が森林だ。森林の共存と再生は県の重要な課題でもあることから、無花粉スギへの研究も盛んに進められた。神奈川県・自然環境保全センターの職員はこう話す。
 「神奈川みたいに人がいる所だと花粉症対策は避けて通れないので、それで花粉症対策を優先してやって仕事を進めてきたので、早く実用化することができた」
 花粉に悩まされない森林づくりを目指す神奈川県。自然環境保全センターでは現在、無花粉ヒノキの研究も進められている。