天国の子供たちの目印に…こいのぼりに込めた父親の思い

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日テレNEWS24

震災で亡くなった子供たちに鎮魂の祈りを込めて、青いこいのぼりを掲げるプロジェクトが毎年、行われている。当時、5歳の息子を亡くした父親の思いとは。
震災で妻と両親、そして末っ子の息子・律くんを亡くした伊藤伸也さん。我々は7年前、律くんの遺品を捜す伊藤さんに出会っていた。そのとき、伊藤さんはこう話していた。
「一番下の子供の、七五三の大きい写真ですね。それがないんですよ」
携帯電話を見せてもらうと、そこには、フラダンスのポーズをとる律くんがいた。無邪気に踊る姿も残っていた。律くんはどんな子供だったのか伊藤さんに尋ねると、涙を流しながらもこう答えてくれた。
「素直だねやっぱ…素直でした。やっぱ離れています。年とってからの子供なので…かわいい」
自宅前には、律くんが大好きだった“こいのぼり”が泳いでいた。がれきの中から見つかり、12歳上の兄が掲げたという。
震災から3か月、その兄が立ち上げたのが、全国から寄付されたこいのぼりを掲げるプロジェクトだ。毎年3月11日から“こどもの日”まで、こいのぼりを掲げる。去年その数は1000匹を超えた。
伊藤さん一家が住んでいた場所では、現在、かさ上げ工事が進められ、景色は一変していた。その中で、こいのぼりだけはいつでも、天国の子供たちの目印にと今も元気に泳いでいる。今年1月、伊藤さんはこう語ってくれた。
「景色は変わりましたけど、自分としては全然、変われないのもあるんですけど…変わらないですよね。とにかく(律くんに)本当に、忘れないからということだけは伝えたい」