人手足りない介護の現場 しっかりと教育を

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 介護福祉士・杉本浩司氏が力を注ぐのは、お年寄りがもう一度できることを増やす“自立”を支援すること。自立支援介護の普及のため、全国の介護施設などで人材育成や講演も行っている。また、介護のイメージを一新し、“カッコいい仕事”にするため、制服のプロデュースなども手がけている。
 そんな杉本氏にとって残念な事件が起きた。東京・中野区の有料老人ホームで、入所者の83歳の男性を溺死させ、殺害したとして、元介護士の男が逮捕された。
――杉本さん、いかがですか。
 残念の一言です。(この事件の)背景は、大きく2つくらいあるかなと思っていて。
 “現場に人が足りない”ということなんですが、以前だと採用しないような人も、人が足りないので採用せざるを得ない状況があるというのが1つ。
 もう1つは、本来であれば教育をしてから現場に出さなきゃいけないところですが、全く介護教育を受けていない人を、人が足りないのですぐデビューさせてしまうということ。
 例えば、私たちのような教育を受けているような人間であれば、認知症の方がたたいてしまうのは「助けて」という一言だったりする(ことに気付く)んですけど、教育を受けていない人だと「せっかく優しくしているのに、なんでたたかれなきゃいけないんだよ」と思っちゃう人もやっぱりいるのが大きな問題の2つめかなと思っています。
――そういった状況への対処のしかたを学んでいないまま現場に行ってしまうということなんですね。
 それが大きい要因だと思っています。