創刊当初は赤くない 過去問“赤本”の歴史

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大学入試の過去問題集の代名詞として知られ、60年以上の歴史を誇る“赤本”。実は、昔は赤色ではなかった。赤本の歴史を探る。
赤本は、京都の出版社・教学社が1954年に創刊した。創刊時は5大学(「京都大」、「同志社・立命館」、「大阪市立大・神戸大」)の計3冊が出版された。
出版社に残る最も古い赤本は、1957年版。中身を見ると、女性の受験者は少なく、中でも経済学部は1人だけだった。創刊当初はデザインも色もバラバラだ。
1965年、東京の有名私立大学がラインアップに加わり、表紙も赤色に統一された。理由は、書店で目立ち縁起がいい色だからだ。
1969年は、東大紛争で東大入試が中止。それでも赤本は変わらず刊行された。
団塊ジュニア世代が多く受験し、競争率が高かった90年代の赤本には、“現役vs浪人”の文字があり時代を感じさせる。大学不合格率は4割以上と、競争が激しい時代だった。
2015年には、保護者向けの赤本も登場した。中身は、受験生を応援するレシピだ。家族一丸で入試に挑む時代がうかがえる。
創刊から63年。いまでは毎年、全国約370大学・530冊を刊行する赤本が大切にすることとは何だろうか。教学社編集部・仲摩さんがこう教えてくれた。
「すぐ結果が求められる時代だと思いますが、受験生本人が(赤本を)どう役立ててもらえるのかを念頭に置いて編集していきたい」