米朝首脳会談の行方 決裂で武力行使も?

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日テレNEWS24

世の中で議論を呼んでいる話題について、ゲストに意見を聞く「opinions」。今回の話題は「金正恩委員長が中国を電撃訪問 目的は?」。激動の国際情勢をわかりやすく分析している日本テレビ・国際部の正田千瑞子部長に話を聞く。
NNNは26日、北朝鮮から要人を乗せたとみられる特別列車が北京に到着したところを独自にとらえ、世界でいち早く報じた。そして28日午前、訪れていたのは金正恩委員長で、中国のトップ・習近平国家主席と会談していたことが発表された。
――正田さん、中国を訪問していた要人は、やはり金正恩委員長だったんですね。
そうですね。私たちも最初は心配だったんです。誰が乗っているか、はっきりと報じることができなかったんです。ただ、要人には間違いないんです。ものすごい警備がしかれていて、非常に異様な光景でした。
色々な情報源から取材して、金正恩委員長か妹の与正氏の可能性が高いということは伝えていたんですけれども、28日午前になって、金正恩氏であると発表されたということなんですね。
この金委員長の中国訪問ですが、(金委員長が)権力の座について初めて訪問した外国が中国になるということで、たくさん映像が出てきました。これで両国の真剣度がわかりますよね。
――北朝鮮といえば韓国やアメリカとの首脳会談が予定されていますが、なぜ、今このタイミングで中国を電撃訪問したのでしょうか?
4月末に南北首脳会談、それから5月末までにトランプ大統領との米朝首脳会談というビッグイベントが控えていますが、金委員長はその前に、これまで冷え切っていた最大のお隣である中国との関係を改善することが大切だと感じたと思われます。
その理由としては、「外交カードの多様化」があげられると思います。
まず、トランプ大統領が「いいよ」と言って、米朝首脳会談が実現することになりました。もし実現するとなると、史上初ですね。北朝鮮側は、あまりにも簡単にトランプ大統領がOKを出したので、びっくりしたといわれています。ただ、歴史的な合意がなされるかもしれないし、もしかしたら、決裂のリスクというのもあるんです。
いま、トランプ大統領の周りは北朝鮮に対する強硬派が固めているんです。そうした中、もし決裂した場合、武力行使に打って出るんじゃないかという懸念も広がっているんです。米朝間が再び緊張した場合には、北朝鮮としてもこうして事前に中国と会っていれば、中国の力を後ろ盾にして、米朝の交渉も有利に運べるという狙いがあったものと思われます。
そして、中国にとっても、これは国際的なプレゼンスを高めるチャンスだったと思うんです。北朝鮮に影響力があるのは、あくまで中国だという姿勢をここで示すことができたと思います。
――だからこのタイミングだったんですね。
それから、米朝首脳会談の会場については色々な臆測が出ていますが、今までだと、中国との関係はかなり冷え込んでいるので、北京はないだろうというのが大方の見方だったんです。
ただ、今回のことで、米朝首脳会談の会場が北京である可能性もゼロではなくなったとは思うんですけども、アメリカが嫌がるかもしれないですし、そのあたりは注目して取材していきたいと思っています。
――いずれにしても、少し心配なのが、日本が取り残されているような印象も受けます。
そうですね。ちょっと蚊帳の外という感じがあります。金正恩委員長の電撃訪中の情報が、事前にあったかどうかわかりませんよね。こうした外交的な駆け引きが今後も活発化することが考えられますので、日本の外交としても、しっかり関わっていくことが大切だと思います。
――今後の展開からいっそう目が離せません。
■正田千瑞子プロフィル
日本テレビ・国際部長。モスクワ支局特派員としてエリツィン時代のロシアを取材。ニューヨーク支局長時代は、リーマンショックをいち早く伝えた。現在は、国際部長として激動の国際情勢をわかりやすく分析している。