「日本は幸福度が低い」にモノ申す 前野氏

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 世の中で議論を呼んでいる話題について、ゲストに意見を聞く「opinions」。今回の話題は「世界幸福度ランク 日本の順位は?」。「幸福学」の研究をする慶応義塾大学・大学院教授の前野隆司氏に聞いた。
 世界155か国を対象とした国連による幸福度ランキング。2017年の報告では、1位はノルウェー、2位はデンマーク、3位はアイスランドだった。日本は51位で、G7では最下位となった。ネット上では「まずは人間らしい労働環境から」「経済が豊かでも、幸せを感じない」「幸福度の基準は、人によって違う」などの意見があった。
――この話題についての意見を書いていただきました。
 最初は意見ではなくてこれを。(0~10まで1刻みで目盛りが入ったフリップ)
――なんですかこれは。
 今の調査は、こういう調査によるんですよ、0から10の間で、あなたの幸せ度は何点ですか。何点にされますか?
――私ですか、うーん、5とか6ぐらいですかね。
 これ実はですね、欧米の国は8とか9につける人が多いんですよ。やっぱり10よりちょっと下かなという感じなんですね。
――なるほど。満点ではないかなという感じなんですね。
 そうです。それに対してアジアの人は、5をつける人が多いんですよね。
――そうなんですか!?
 やっぱり中庸だよね、真ん中ですよね、という考え方なんです。
――それはなぜ違いが出るんでしょう?
 やはり国民性とか文化差、幸せというのはなるものだと思うか、それとも普通でいいんじゃないかと思うかというのが違うんですよね。
――なるほど。フリップ2枚目があります。
 その前にちょっと待って下さい(笑)。だから日本は、「幸せ度が先進国中で最下位」と言いますが、アジアの人は低めにつける傾向がありますから、本当に低いのか、低めの中庸を目指しているのか、ということを注意しなければいけないということなんですね。
――なるほど。私も5か6につけましたけども、それは「本当に5や6なのか」ということですよね。
 そうですね。別の調査の仕方をすると、日本はアメリカよりも幸せ度が高いという結果もあるんですよ。
――その指標はどこで重視して見たらいいんでしょう。
 そうですね。有名なのは、ディーナー先生がつくった「人生満足尺度」というものがあるんですが、それで調べてみると、やはり北欧は高くて、日本は中くらい、アメリカがちょっと低いという結果も出てますから、やはり今回の指標だけを見るんじゃなくて、いろんな指標を見たほうがいいと思うんですよね。
――なるほど、では次をお願いします。
 「人と比べない方が幸せ」――やはり日本は、先進国中で最下位なんていうニュースがすごくよく出てくるんですけど、実は幸せの研究によると、「自分と他人を比較しない傾向の強い人の方が、幸せ度が高い」ということがわかっています。
 ですから、あまり日本は51位とか、そんなことに惑わされずに――調べ方にもいろいろ問題がありますし、実際そうだったとしても、自分は自分らしく生きた方がいいので、あまり人と比べない方が幸せになれますよ、とお伝えしたいと思って。
――とは言ってもやはり比べてしまう方が多いんじゃないかと思うんですが、何か解決法はありますか?
 やはり自分の強みとか、自分らしさを持つこと、先ほどのニュースでもカプセルトイとか戦闘機を見に行くとか、いろいろあったじゃないですか、自分は何をしたいってことを強く持てば、他人と比べ過ぎちゃわないですよね。
――なるほど、世界を持つことが大事だということですね。