信頼でスピードが生まれるブラインドスキー

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日テレNEWS24

目が見えない藤田さんの趣味はスキー。目が見えるパートナーと組むことで、視覚障害者たちはスキーを楽しむことができます。藤田さんは、雪山を滑りおりるブラインドスキーが、何よりの楽しみです。
かながわブラインドスキークラブ創設者・藤田功三さん「まちなかを1人で歩けと言われても、僕は歩けないですよ。車の音がすると怖くて、足が出ない。ところがスキー場にいって、声をかけてもらえば、あのスピードで滑れるので、楽しいです」
網膜色素変性症で、30代で完全に視力を失った藤田さん。趣味のスキーをなんとかして楽しみたいと仲間を募りました。視覚障害の私たちと一緒に、スキーをしてくださる方はいませんか?その呼びかけで、1985年にかながわブラインドスキークラブが誕生しました。
視覚障害者とパートナーが2人1組になって雪山へ出発。声が頼りなので、無線でやりとりができるヘッドセットをつけて出発するペアもいます。多くの人がいるゲレンデ。どのルートでおりるかをパートナーが見極め、声で誘導します。指示は短く的確に。
パートナー「はい右!」「そのまま右!」
パートナー「止まれ!」
やりとりがうまくいかないと、コースアウトし、時にはけがをさせてしまいます。そのため、初心者パートナー向けの講習会も開いています。
受講者「はい右“です”」
講師「右“です”とか左“です”とかはいらないよ。右!とか左!とかだよ」
さらにパートナーは視覚障害者のペースに合わせて滑らなくてはなりません。時にはついていくのが一苦労。スピードを出したい視覚障害者にはパートナーが2人以上つき、安全を確保しながら滑ります。滑りたいという視覚障害者は増え続けていますが、パートナーは常に不足しています。
サポート役のパートナーですが、スキーが上手な視覚障害者が、パートナーをリードすることもあります。2人で滑るから楽しい。滑り終えた時の達成感が醍醐味(だいごみ)です。
パートナー二年目・栗原美穂さん「まだ新人なんですけど、いっぱいアドバイスしてくれて、おかげで安全に、たくさん滑ることができました」
ブラインドスキーヤー・小平幸絵さん「絆を感じるんですよ。愛を感じるの!」
肌に感じる風。足から伝わる山のでこぼこ。2人の信頼関係で生まれるスピード。藤田さんが創設したかながわブラインドスキークラブは、仲間が増え続け、今は107人の会員がいます。仲間から、レジェンドと呼ばれる藤田さん。80歳を越えた今も、スキーを楽しんでいます。
藤田さん「趣味だけでつながっているから良いんです。本当に好きなスキーでつながっている」