グラスロッドからカーボンロッドへ その3

視聴回数1,733,139

※ 視聴回数は1日1回更新されます。
©釣りビジョン

株式会社釣りビジョン

炭素で出来たカーボンは、1950年頃に米国がロケット開発のために作ったマテリアルである。しかし、そのカーボンを日々進化させたのは、日本の清流に住む鮎だということはあまり知られていない。今では様々な用途でカーボン素材が使われているが、1970年代に商業用として登場した際、夢の素材であるにもかかわらず使用途が限られていたと東レの担当者たちは言う。
そこで目を付けたのが釣り具メーカー。アルミより軽く鉄より強いカーボンを様々な釣竿はもちろん、その中でも日本固有の釣りである「鮎の友釣り」用の竿として使えないかと考える。
この鮎竿というものは特殊で、9メートルという長さを必要とし、囮の鮎を操って野鮎を掛けるという世界にも類の無い独特の釣りである。その9メートルという長い竿はより軽量で感度が良く、しかも丈夫でなければならない。この矛盾した条件をクリアするために、毎年毎年新たなカーボンを開発し、条件をクリアしていき、現在では9メートルの竿で最高級のカーボンを使っていれば重量はわずか200グラムにも満たないものにまでなっている。これら釣竿開発によって鍛錬された最高級のカーボン素材は、現在では衛星の主材料に使われている。さて、みなさんはこの事実をご存じだっただろうか?たかが釣り、されど釣りなのである。