依存症は「遺伝」する?【短時間でしっかりわかる 図解 依存症の話】

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 依存症になるのは、本人の心の弱さや甘えが原因という誤解が根強くあります。例えば、遅刻や欠勤を繰り返してまで飲酒をやめられないのは、自己管理のできない弱い人間だから、などの間違った認識です。依存症は心の弱い人がなるものではありません。むしろ、誰かに頼ったり弱音を吐いたりしていたほうが、依存症にはならなかったりもします。つらくても自分で乗り越えなくてはいけないと思ったり、周囲の期待に応えなくてはならないと孤軍奮闘するうちに、依存症という沼から抜けられなくなってしまうのです。
 一方、遺伝的要素については、物質依存との関連が多くの専門機関の研究で報告されています。アルコール依存者の約3人に1人がお酒を多飲する親を持ち、アルコール依存症の一致率は二卵性より一卵性のほうが高いという結果が得られています。また、アルコール依存症の発症に遺伝的要因が占める割合はおよそ2分の1から3分の2と推定され、遺伝的にお酒に強い体質であることも、アルコール依存症の発症に大きく影響します。
 生育環境など環境的要素も見逃せません。子どもの頃から周囲の大人がおいしそうにお酒を飲んでいる姿を見て育つと、お酒はおいしくて飲むと楽しくなるもの、だから自分も大人になったら飲みたいと刷り込まれます。生育環境が、飲酒の習慣の呼び水になることもあるのです。
【出典】『短時間でしっかりわかる 図解 依存症の話』
大石雅之 著