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※ 視聴回数は1日1回更新されます。50年以上、変わらないデザインで愛されている、ある“しょうゆ瓶”が今年3月、“立体商標”に登録されました。なぜ登録されたのか、その秘密を紹介します。
くびれたネックから広がる柔らかな曲線、しょうゆとのコントラストが美しい赤いキャップなど、一目見ただけで、キッコーマンと認識できるあのしょうゆ瓶が立体商標に登録されました。
1961年に世界的な工業デザイナーの榮久庵憲司氏がデザインし、発売されたキッコーマンのしょうゆ瓶。57年間、そのデザインを守り続けてきました。その形には様々な工夫があります。
■その1 液垂れしない
秘密は注ぎ口にありました。60度に削ったことで表面張力が働き、液垂れを防いでいます。
■その2 女性が持ったら美しい
細くくびれたネック部分を持った時に、注ぐ手が美しく見えるようにしました。
アメリカ、中国、フランスなど、今では約100の国と地域で親しまれ、瓶の形そのものの価値が評価されました。キッコーマンの鈴木英之さんはこう話します。
「卓上瓶が当社のブランドシンボル的な商標だったので、『よく取った!』という反応があった」
この瓶は、ニューヨーク近代美術館・MoMAの永久収蔵品にもなっています。
ニュースになったワケはそれだけではありません。特許庁の高橋幸志さんによると――
「容器そのものだけでは登録できないということが、かなりの確率で高い」
現在、登録されている立体商標は約2300種類。その多くが、商品名やイメージカラーなどを含めての登録です。容器そのものがブランドシンボルと認められたのは、コカ・コーラ、ヤクルト、ジャン=ポール・ゴルチエなど、ほんの数種類。
キッコーマンにとって、まさに長年の悲願だった立体商標登録だったのです。