女性の体はタブーじゃない!世界中のフェムテック製品が集結した「Femtech Fes! 2021」

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朝日新聞社

bouncy / バウンシー

150社の230アイテムが大集結
そもそも、フェムテックとは女性(Female)と技術(Technology)を組み合わせた造語。女性の身体特有の課題をテクノロジーで解決する製品やサービスのことを指します。今までタブー視されてきた女性の身体にアプローチする新しい分野です。
このイベントでは、世界各国から150社を超える企業の約230のアイテムが大集結。開発にまつわるストーリーを読みながら、実際にプロダクトを手にとることができます。
プロダクトは産後やセクシャルウェルネス、更年期、月経などを対象にしたもの。フロアには一時間でも全部は回れないほどのプロダクトが並んでいました。
20歳の視点から選んだプロダクト
ずらりと並んだプロダクトの中でも、私が特に興味を惹かれたものを三つ紹介します。
一つ目が、オーストリアで生まれた「breath ilo(ブリーズ アイロ)」。
ホルモンの変化によって移りゆく呼気のCO2レベルを測定し、月経周期を予測できます。排卵時期を的確に予想できるので、妊娠を望む方が主なユーザーです。
ですが、私が着目した点は月経周期をより正確に予想できる点。月経周期は自分でルナルナなどのアプリに月経日を入力し、次の月経開始日を予想するのが多いのではないでしょうか。その方法だと月経が不定期におとずれる方は予想がつきにくく、常に心配することになります。
このプロダクトは呼気の測定というシンプルな方法で月経周期予測できます。アスリートなど、月経が生活に大きな影響を及ぼす方にも革新的なプロダクトではないでしょうか。
難民の「生理の貧困」解決目指して
二つ目が英国で生まれた「Looop Can(ループ カン)」。
難民女性の「生理の貧困」を解決するためのナプキン洗浄キットです。難民女性の60パーセントが食料や乳幼児のおむつなど生活用品を買うため、自らの生理用品の購入を諦めている現状を解決できます。
このプロダクトは、生理用品が買えないことによる衛生問題を解決するだけではありません。夜にトイレに行くために長距離を移動する必要がなくなるため、ジェンダーに基づく暴力を減らせます。
さらに、日本でも自然災害時にとても役に立ちそう。避難時には住居や食料などとは違い、月経などそれぞれの性特有のことは配慮されにくいし、言いにくいものです。私も男性特有の避難時の生理現象に関わる悩みがあまりわからないし、なかなか聞けません。
今まであまり目がつけられなかった分野のプロダクトですが、多くの人が救われると思います。
性被害の証拠保全キット
そして最後が、米国で生まれた「Early-Evidence Kit(アーリー エビデンス キット)」。
性被害(レイプ)の証拠を保全するキットです。現行の証拠保全フローに課題を感じた性被害のサバイバーたちによって開発されています。このプロダクトでは誰とも話さずに約30分で加害者のDNAを収集して保存でき、検査のために郵送できます。また、ケアチームとモバイルアプリを通して相談も可能です。
特に素晴らしい点が、証拠保全だけでなく性被害者をフォローするサービスも用意されている点。音楽・ダンス・ヨガなどを通して週に2回、6週間定期的に社会と繋がり、傷を癒すことができます。
日本では、性被害を受けても誰にも相談できなかったケースが多くを占めます。性被害は身体・精神への大きな侵害にも関わらず、人に相談しにくい上、傷も癒えにくいもの。このプロダクトで性被害への関心が高まり、性的暴行への抑止力にも繋がることを望みます。
フェムテックに思うこと
正直、女性の身体がテーマのイベントがこんなに大規模に開催されたことに驚きました。
ほんの数年前までは月経や更年期はタブーで触れてはいけないものでした。私は小学生の時、月経についての授業を女の子だけで受けました。男の子には言えない、「恥ずかしいこと」だという雰囲気が教室には漂っていました。
「月経についての話を口にするな」と年配の男性に言われたこともあります。月経について情報を共有する機会が少なかったため、自分はPMS(月経前症候群)を抱えていることにも数年間気づけませんでした。
いま、日本ではフェムテックの過渡期にあると思います。口にするのも恥ずかしいことだった女性の体に関することに光があたりはじめ、このようなイベントが大規模に開催されるまでになりました。
体や性に関する悩みは、恥ずかしいものでもなんでもなく当たり前に発生するものです。女性の選択肢がより増える世界になることが楽しみですし、その世界への変容に私も少しでも尽力したいです。