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※ 視聴回数は1日1回更新されます。世の中で議論を呼んでいる話題について、ゲストに意見を聞く「opinions」。今回の話題は「今年!月旅行へ!!」。科学関連の取材を担当するとともに、日本テレビの英語ニュースのアンカーも務める日本テレビ社会部科学班・小林史記者に話を聞く。
6日、アメリカの民間宇宙企業“スペースX”が開発した新型ロケット“ファルコンヘビー”の発射実験が行われた。ロケット本体とは通信ができなくなったが、切り離されたブースター2機が正確に帰還するなど、打ち上げは成功した。
ファルコンヘビーは、年内にも月への周回旅行に使われるということで、スペースXは、2022年には火星に宇宙船を到達させることも目指している。ネット上ではこんな声があがっている。
「民間競争が起きて宇宙旅行の日も近づきそう」
「乗り遅れないように日本も頑張れ」
「月や火星に行く前に地球の砂漠を緑化して」
――この話題について、小林さんにご意見を書いていただきました。
「宇宙へおでかけ」。これまでのロケットは、国際宇宙ステーションに人や物資を運んだり、地球の軌道上に人工衛星などを運んだりするためのものが一般的でした。
それに対して、今回、打ち上げられたファルコンヘビーが目指しているのは、地球周辺ではなく、もっと遠く離れた火星なんです。その点で、これまでの宇宙開発とは一線を画す“画期的な実験”だったと言えると思います。
いま宇宙開発は、大きな転換点にさしかかっています。その1つは、宇宙開発の舞台がより広がっていることです。これまでの舞台は国際宇宙ステーションだったんですが、これは2024年以降どうするか、まだ方針は決まっていないんです。
そんな中、アメリカのトランプ大統領が去年、新たな“有人月面探査計画”を打ち出しました。この計画は、ただ人を月に送るだけではなく、月の軌道上に新たな宇宙ステーションを建設して、そこを拠点に、さらにその先にある火星や小惑星を目指すという壮大なものです。日本政府もこの計画に参加を検討しています。宇宙開発の舞台が、地球周辺から月や火星へと、大きく広がりを見せています。
そして、もう1つの変化は、徹底した低コスト化です。ファルコンヘビーは、打ち上げ後に切り離されたブースター2機が地球に正確に戻ってきましたが、スペースX社の強みの1つは、こうしたロケットのブースターを再利用することで低コスト化を実現しているということです。
民間企業がどんどん参入して、競争原理がはたらくことで、大幅な低コスト化を実現しようとしています。近い将来、宇宙飛行士ではない私たち一般人が、宇宙旅行を楽しめるような時代が来るかもしれません。
――映画の世界と思っていたことが、本当に現実に起きようとしているということですね。
そういう時代も近いかもしれません。