副作用が少なくて効果が高い薬をつくる!「ゲノム創薬」とは【眠れなくなるほど面白い 図解 生命科学の話】

視聴回数820,895

※ 視聴回数は1日1回更新されます。

ラブすぽ

ゲノム創薬とは、コンピュータによるゲノム解析の情報を活用して、新しい薬をつくることです。まずは、コンピュータ上で病気の原因になる遺伝子を見つけ出し、その遺伝子がつくるタンパク質の情報を調べます。そして、そのタンパク質に結合する物質から薬の候補を探し出し、最も合った治療薬を選びます。この方法なら、遺伝子情報をくまなく調べたうえで、破壊したい細胞だけをねらう物質を見つけることができるので、一人ひとりに合う、治療効果が高く副作用の少ない薬をつくることができます。
 現在、日本ではゲノム創薬でつくられた薬のうち、遺伝性網膜ジストロフィー、悪性神経膠腫、慢性動脈閉塞症、多発性骨髄腫、リンパ腫などの薬が承認されています。なかでも、脊髄性筋萎縮症の薬は、1億6700 万円という値段が話題になりました。
 世界では多くの新薬が開発されていますが、現時点で日本ではその70%以上が未承認の状態です。薬の承認に必要な臨床試験がなかなかできないことが理由の一つとされていますが、一方で、創薬につながる物質は次々に発見され、研究が進められています。それらが実用化されれば、それぞれの患者に合うオーダーメイドの医療も夢ではなくなるでしょう。より多くの人が気軽に利用できる日が待たれます。
【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 生命科学の話』
著:高橋祥子