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※ 視聴回数は1日1回更新されます。花粉症に悩む人は多く、私もそのひとりです。対策としては、アレルギーを抑える薬やスギ花粉の舌下免疫療法などがあり、スギ花粉症緩和米の開発も始まっていますが、決定的な治療法はこれといってまだありません。
そこで、ゲノム編集による品種改良で、成長が早くて花粉の少ないスギを育てて、花粉症を減らそうという取り組みが始まりました。日本の国土面積の約7割は、森林です。そのうち約4割は人工林で、花粉症の原因になるスギ・ヒノキ林は、その約7割を占めています。この人工スギを改良しようというわけです。これまでの品種改良では、品質を評価するために数十年かかっていたのが、ゲノムを活用すると5年ほどで、ある程度品質が予測できるようになりました。
また、CO2の吸収・貯蓄量の多いスギへ改良する取り組みも始まっています。人間の直接的な活動でCO2 を削減するのは限界がありますが、こうして全方位的に行うことができれば効率的です。もちろん、いい品種のスギができたからといって、すぐ植え替えできるわけではないのですが、将来を見据えた研究としては、とても重要だと思います。
花粉症やCO2の問題を生命科学のテクノロジーで解決できれば、なによりです。
出典『眠れなくなるほど面白い 図解 生命科学の話』
著:高橋祥子