改修で判明 地震に強い薬師寺・東塔の秘密

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日テレNEWS24

奈良の世界遺産・薬師寺の国宝“東塔”。1300年の歴史で、初の全面解体作業が行われている。解体作業の中で行われた科学的調査で、“地震に強い構造”が明らかになった。その秘密は1本の太い柱にあった。
2009年から始まった、約110年ぶりの薬師寺・東塔大改修。姿を現したのは、塔の中心にある太い1本の柱だ。これは“心柱(しんばしら)”と呼ばれ、他の骨組みとは一切接しておらず、心柱の重みだけで自立している。にもかかわらず、過去8回ほど大地震に遭っているが、1度も倒壊したことがない。
なぜ地震に強いのか?今回、その構造を分析するため、古代の塔では例がないほど詳しい科学的調査が行われた。塔を人の手で揺らして揺れ方のデータを取り、屋根の上に重りをのせ、軒先がどのように下がるか調査。
これらの情報をもとに、マグニチュード9の地震に遭った想定をコンピューター上で再現すると、塔の各層がバラバラに動いていた。これは“スネークダンス”と呼ばれる動きで、これによってどちらか一方に倒れることがない。
その揺れの秘密が、各層の柱の組み立て方にあった。突起を介して土台とつながっているだけで固定されていないので、浮き上がることはあるが、横にずれない仕組みになっていた。固定していなかったことで、地震に強い塔になっていたのだ。
さらに、この左右に大きく動く心柱には、全体の揺れを早く収める効果が認められた。1300年間、1度も倒壊しなかった塔の構造が解明されたのだ。