裏社会を歩く ゴシップライターの映画「コネクション」監督インタビュー

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朝日新聞社

bouncy / バウンシー

知らない世界を知れるーー。映画の楽しみの一つだろう。女性実話ライターが活躍する設定の映画「コネクション」は、未知なる「裏社会」が舞台だ。監督を務める井川楊枝さんの経験を余すところなく反映している。あなたも映画館でハラハラ、ドキドキしてみてはどうだろう?
監督は実話ライター経験者
実話ライターとは、「実話誌」と呼ばれる男性向けゴシップ誌で活躍するライターを指す。実話誌は暴力団や暴走族、ヤンキーなど裏社会系の特集を組むことが多い。おどろおどろしい表紙の中身には、そんな特集のほか、グラビアページなども組まれている。
井川さんも長らく、「実話ナックルズ」「実話ドキュメント」などで実話ライターとして活躍してきた。そんな井川さんと筆者は、今回の動画撮影が初対面ではない。
筆者はかつて、アダルトビデオ(AV)出演強要問題を追いかけていた。新聞紙面やネットニュースで、数多くの記事を執筆。被害女性や支援団体などを取材すると同時に、AV業界関係者にも話を聞いた。
その過程で、井川さんが2016年10月に出した「モザイクの向こう側」(双葉社)を手にした。ずっと気になっていたところ別のライター経由で接点を持ち、5年ほど前に一度、業界の話などを聞いた。
その後、井川さんは映画や舞台の世界に活躍の場を移している。そして、今回、実話ライター経験を存分に生かした作品のメガホンを取った。
6つのオムニバス形式
「コネクション」の主人公は、26歳女性の実話ライター。ほんの偶然で裏社会を取材することになった彼女を、元「E-girls」の杉枝真結さんが演じている。
家出少女、不良、薬物、オカルトなど6つの題材をオムニバス形式で描く。その撮影現場では「割と事細かく(演技を)指導させてもらった」とインタビューで明かした。
この記事の冒頭、「知らない世界を知れる」のが、映画の楽しみだと書いた。我らは、不良の生態も薬物の実態にも、たいして知識はない。しかし、映像にかなりのリアリティーがなければ、チープだと感じる。詳しくなくても、本物に近いかどうかは判断できる。
「コネクション」は、「さもありなん」と納得できるレベルで登場人物と現場が再現されていた。ここはポイントが高い。
舞台を池袋にした理由は
ネタバレを防ぐために映画の中身には、踏み込まないでおこう。それでも筆者が注目した点を、一つだけ挙げる。それは舞台が池袋となっていることだ。
動画インタビューの合間に井川さんに聞いてみた。すると、こんな答えが返ってきた。
「他のメジャーな街、新宿とか渋谷はもう何度も映像化され、手あかがついていませんか? その点、池袋は『池袋ウエストゲートパーク』ぐらいしかないですよね」
筆者にとっては、めちゃ懐かしい名前が出てきた。「池袋ウエストゲートパーク」(I.W.G.P)は、石田衣良さんの小説。2000年に宮藤官九郎さん演出、長瀬智也さん主演でテレビドラマ化された。さらに2020年にもテレビアニメ化されていることからも、根強い人気が分かる。
シネマ・ロサへの想い
「主人公の真島誠が格好良いんだよね」と、I.W.G.Pトークをするのは別の機会にしよう。
元埼玉県人の筆者は、学生時代はずっと池袋経由で都心に出ていた。地図なしで目的地まで辿り着ける数少ない街の一つ。「庭」とまでは言えないにしても、かなり馴染みがある。ちなみに、埼玉を大いにディスる映画「翔んで埼玉」(2019年)は、埼玉県人の聖地・池袋で見ている。
さらに井川さんが、池袋を舞台にした理由がある。それが「池袋シネマ・ロサで、上映したかった」。これも池袋好きには、グッとくる名前だ。
「シネマ・ロサ」は、池袋駅西口にある総合アミューズメントビル「ロサ会館」にある。映画館だけでなく、ゲームセンターやボウリング場、居酒屋も。さらにライブハウス、フットサル場と、実に「ごった煮」だ。そして、池袋で独特の存在感を放っている。
ここで監督した作品を上映したいという気持ちは、筆者も分かる。
上映は2月25日から順次拡大
井川さんの狙い通りに、「コネクション」は2月25日から、池袋シネマ・ロサで上演され、順次全国に拡大予定となっている。
詳細は、映画コネクション公式サイトをチェック頂きたい。
また、2022年2月16日(水)20:30~、井川さんを 「#bouncy_sounds」にお招きする予定だ。こちらは毎週水曜日の夜、bouncyのTwitterアカウントで実施している音声配信。 MCと筆者とで、井川さんを質問攻めにしたい。