遺伝子操作で「子どもをデザイン」できる?【眠れなくなるほど面白い 図解 遺伝の話】

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 遺伝子組み換えは別の生物の遺伝子を組み込むというものですが、近年は「ゲノム編集」という新たな技術も注目を集めています。
 ゲノム編集とはハサミの役割をする酵素でDNAを切断し、特定の遺伝子の機能を強化したり、はたらかなくしたり、別の機能を持たせたりする技術です。遺伝子組み換えは他の生物の遺伝子がゲノムのどこに組み込まれ、どのようにはたらくかコントロールできないなどのリスクがありますが、ゲノム編集はその生物が持つDNAの狙った箇所を直接編集するので、より安全で効率もよいとされています。農業や水産業での応用も進んでいて、この技術を用いてGABAという栄養素を豊富に含むトマトなども生み出されています。
 ゲノム編集の技術を使えば、遺伝子を原因とするさまざまな病気を治療できる可能性があります。さらに、受精卵の遺伝子を操作することで、親が望む能力を持つ子どもを生み出す「デザイナーベビー」も技術的に可能になりつつあるのです。しかし、ある遺伝の機能を強化することで、別の健康被害を引き起こすおそれがあるなど将来への影響は未知数です。人間の能力をデザインすることが許されるのかという倫理的な問題もあり、ヒトへの利用はどこまで許されるのか、よく考えるべきでしょう。
【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 遺伝の話』
監修/安藤寿康