親のアレルギー疾患はそのまま子どもに遺伝する?【眠れなくなるほど面白い 図解 遺伝の話】

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 厚生労働省が発表したデータ※によると、日本の全人口の約3割、4000万人近くが何かしらのアレルギー症状を持っているそうです。その主な内訳は花粉症が約39%、アレルギー性鼻炎が約28%、アレルギー性結膜炎が約20%、アトピー性皮膚炎が約16%、食物アレルギーは約15%(一部重複あり)となっています。もはや国民病と呼べるほどに身近な存在となったアレルギーですが、疾患そのものや体質が親から子へと遺伝する可能性はあるのでしょうか?
 先に結論を書いてしまうと、他の多くの病気と同様、アレルギーも遺伝的要因であり、親から子へ遺伝する可能性があります。親のどちらかがアレルギーの場合は50%前後、両方だと70~80%(アトピー性皮膚炎の場合は約90%)の確率で遺伝するという説もあります。数字だけ見るとかなり衝撃的ですが、これはあくまで遺伝的要因として子どもに受け継がれる確率であり、アレルギー疾患を持つ子どもが生まれる確率ではありません。アレルギーの発症は体質(遺伝)のほかに生活環境や原因物質の有無も関係しています。仮にアレルギーになりやすい敏感な体質だったとしても、原因をできるだけ遠ざけ、生活環境を整えてあげることでアレルギーの発症は防ぐことができるのです。
※:「アレルギー疾患の多様性、生活実態を把握するための疫学研究(令和3年)
【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 遺伝の話』
監修/安藤寿康