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※ 視聴回数は1日1回更新されます。 前のページで、親から子に引き継がれる遺伝のバリエーションは無限であることを説明しました。では、平凡な親から優秀な子が生まれる「トンビが鷹を生む」はありうるのでしょうか。
遺伝的な形質は単一の遺伝子だけで決まることは少なく、たいていは多数の遺伝子が関わっています。このような遺伝を「ポリジーン」と呼びます。この考え方に沿って、次のようなシミュレーションをしてみましょう。
まず、5対の染色体にそれぞれ対立遺伝子があり、それらの組み合わせで決まる形質があると仮定します。それぞれの遺伝の効果は1点か0点だけとすると、合計5点となる組み合わせを持つ両親の子は最小で2点、最大で8点になります。両親が平均的でも著しく優秀な子や平均よりも劣る子が生まれる可能性があることがわかるでしょう。このような、効果の足し合わせで遺伝的素質が決まるタイプの遺伝を「相加的遺伝」といいます。
実際、平均的な身長の両親から生まれてくる子どもの身長が遺伝的にどれくらい散らばるか算出したところ、社会全体の身長の分布とほぼ同じでした。つまり、同じ両親から多様な遺伝的素質を持つ子どもが生まれる可能性があり、「トンビが鷹を生む」も、その逆も普通に起きることなのです。
【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 遺伝の話』
監修/安藤寿康