プラは分解されない → 長く使える。価値観が変わった三井化学「そざいの魅力ラボ」

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朝日新聞社

bouncy / バウンシー

総合化学メーカー、三井化学の取り組みは、クリエイティブで面白い。
7月17日まで、三井化学のオープン・ラボラトリー「そざいの魅力ラボ」が「MOLpCafe(モルカフェ)2021」を開催中だ。会場のライトボックススタジオ青山(東京都 港区)に足を運んでみた。海洋ゴミ問題などで目の敵にされがちなプラスチック素材の新たな価値を、気づかせてくれる内容になっていた。
以前、本メディアでも紹介した「ありがとう 炭鉱電車プロジェクト」も三井化学の取り組みの一つ。閉鎖が決まった炭鉱町の鉄道を保存するにあたり、鉄道や路線そのものを残すのではなく、音と映像を使って人々の五感に残すという、素敵な試みだった。
「MOLpCafe2021」は「NeoPLASTICism(新造形主義)」がテーマ。1920年代にピエト・モンドリアンが唱えた思想がヒントになっている。写実ではなく、いろいろなものを削ぎ落とし抽象化することでリアリティ(本質)が見えてくるというものだ。
「プラスチックだからできる」を展示
エシカルなプラスチック
Vegan Down
ダウンジャケットの中身のダウンやフェザーにも勝るとも劣らない機能性を持つ新素材「SPS(シンジオタクチックポリスチレン)不織布」でできたジャケット。SPS不織布とは、水に強くて軽くて暖かい特徴を持つプラスチック素材のこと。
動物愛護の観点からも、水鳥の羽根からできるダウンより、エシカルで機能的だ。近い将来、冬の必需品になることは間違いない。
ストーリーのあるプラスチック
RePLAYER-Flecon Tote Bag
実際に粉体や粒状の貨物輸送で使用されていたフレキシブルコンテナを再利用したトートバッグ。約1tの荷重にも耐えられる強度を誇る素材だから、10〜20年は優にもつという。
しかも、バッグのひとつひとつにブロックチェーンが発行されている。持ち主が変わっていっても所有者の履歴が残ると、バッグのストーリーが描かれていくような作りになっている。
彼らに「人生」があることを意識をすれば、簡単に所有者も捨てたり焼いたりしにくくなるはず。そういう効果も期待しているのだろうか。
ひんやりプラスチック
SEKITEI MOUSE
海水から抽出したミネラル成分から生まれたプラスチック「NAGORI」を使ったマウス。樹脂の常識を覆す陶器のような質感と熱伝導性を併せ持つ。
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このイベントで、プラスチックの印象がガラッと変わった。「分解されない」ということ、イコール「環境汚染」と思っていた。しかし見方を変えれば、「分解されない」ことは、何度も何度も、半永久的に使えるということでもあるのではないだろうか?
環境汚染の問題は、素材自体に罪があるわけではなくて、使い方、使う人の意識が問題なのではないだろうか?
MOLpCafé2021
MOLp®/そざいの魅力ラボ