ソニーの電気自動車「VISION-S」試乗、自動運転を見越した走る映画館

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朝日新聞社

bouncy / バウンシー

ソニーはCES 2020で、スピーカーでもスマホでもなく、電気自動車「Vision-S」を発表したことで話題となりました。その後も開発は続けられており、ついに東京に試作車が到着。まだナンバープレートを取得できないため公道は走れませんが、私有地でちょっとだけ試乗してみると、ソニーのEVにかける本気度を感じられました。
「Vision-S」のキーレスエントリーシステムは、スマホを近づけるだけで自動でドアロックが解錠されます。最近の自動車と同様に物理キーはないが、アプリ操作でも解錠できる仕組みを備えています。
実演してもらうと、アプリを操作すると車体のLEDがライン状に輝き、その後ドアハンドルがパカっと開きます。
運転席に乗り込むと、ハンドル周りの作りは一般的な自動車と変わりないようでしたが、とにかく目立つのが運転席から助手席まであるパノラマタッチスクリーン。
全部で三面になっていて、運転席のスクリーンには速度計やギアの状態などが表示され、中央と助手席側のスクリーンには地図や音楽などのコンテンツを表示できます。
表示中のコンテンツは長押ししてドラッグすると、「中央→助手席」のように表示位置をサクッと変えられ、まるでSFの世界でした。
Vision-Sにはシートの首のあたりにスピーカーが埋め込まれているなど、車内の音響レイアウトも作り込まれています。音楽がかかると「これが車の音響……?」と慌てるほどいい音が聞こえました。
さらにソニー独自の立体音響技術「360 Reality Audio」をオンにすると、自分がオーケストラの中心にいるような聴こえ方になり、360°いろんな方向から音楽が楽しめました。試乗会では体験できずでしたが、この技術を応用して「車内の全員が別々の音楽を聴く」といった使い分けもできるそうです。
映画を流すと重低音のきいたサウンドが流れ、もはやシアターかと思うほど。シートを倒してゆっくり映画を見れば、車内でも没入して楽しめそうです。(映画を見るにはちょっと画面が小さいかもしれませんが……)
もちろん、これらのコンテンツは運転中に見るには向いていませんが、将来的に「完全自動運転」が実現すれば、移動しながら映画や音楽を楽しむといった「移動」の概念を変える片鱗が見えた気がします。
試乗は助手席に乗っての有人走行でしたが、自動運転の基準としては、テスラなど市販車で流通している「レベル2」の性能を搭載。運転支援レベルの機能とはいえ、市販実績のあるものが実装されているとのこと。
今後の進展について、エンタテインメントロボット「aibo」の事業を担当し、VISION-Sの開発をリードした川西さんに話を聞いてみました。
——VISION-Sに製品化の予定はあるのでしょうか?
川西:今のところ、VISION-Sの販売は予定していません。まずは2020年度中に公道を走れるレベルまで開発することに注力していきたいと思っています。
——スマホのキーを見てシェアリングサービスにも使えそうだと思いましたが、そういったサービス展開は視野にいれていますか?
川西:例えばVISION-Sは、NFCのハードに対応しているなど、シェアリングで使えるような仕組みは内部に組み込んでいます。あとはソフトウェアでの対応もできると思います。
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ソニーならではの技術が詰め込まれた「VISION-S」。いつの日かシェアリングサービスでVISION-Sに乗れる日が訪れるのかも?