一周まわって逆に便利?ダイヤル式携帯電話「Rotary Cell Phone」

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朝日新聞社

bouncy / バウンシー

スマートフォンが世の中に普及して久しい。もはや「電話」は、スマートフォンという小型コンピューターの数ある機能の一つに過ぎず、電話の機能しか持たなかった「電話機」は過去の遺物になりつつある。
しかし、スマートフォンという多機能なツールに組み込まれたことで、逆に電話本来のシンプルさが損なわれ、無闇に複雑になってしまってはいないだろうか。例えば、何百人も登録できるアドレス帳機能は本当に必要なのか。電話をかけるのにわざわざメニューから電話アプリを開き、アドレス帳や履歴から相手を探すのは、逆に手間になってはいないか。
そんな疑問を持った一人のエンジニアが趣味で開発したのが、このダイヤル式携帯電話「Rotary Cell Phone」だ。試作品を発表したところ問い合わせが殺到し、現在最小限のキットが販売されているほか、2020年9月には完全版キットが販売開始予定だという。
スマホよりシンプルで速い電話機能
開発者が最も不要に感じていたのが、スマートフォンのタッチスクリーン。そこでこの「Rotary Cell Phone」は、名前の示す通り、懐かしのダイヤル式を採用した。新しい番号に電話をかけるときや音量を設定するとき等は、ダイヤルを一つ一つ回して、無機質なタッチスクリーンでは得られない触感を楽しめる。
しかし、よくかける相手にも毎回ダイヤルを回すのは不便すぎるため、そこはしっかり連絡先登録機能を実装。よくかける番号はプログラミングしておくことで、ボタンを押しながらダイヤルを一つ回すだけで電話をかけることができる。この操作はスマートフォンで電話をかけるよりはるかに速いという。
プログラミングやものづくりの楽しみも
そして「Rotary Cell Phone」は見た目はかなりアナログだが、使われている技術も古いというわけではない。背面には婉曲した電子ペーパーディスプレイが設置されており、不在着信などの定型文が表示されるしくみ。
電源スイッチはスライド式で、バッテリー残量は側面にある10個のライトで判別できる。スマートフォンの電源長押しのナンセンスさや、ちゃんとオフできたかがわかりづらい不親切設計に対する開発者なりのアンサーだ。
実際のところ、「Rotary Cell Phone」は組み立てもプログラミングも素人にはなかなか難易度が高い。しかしだからこそ、プログラミングやものづくりが好きな人なら思わず萌える一品ではないだろうか。
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あなたも懐かしのダイヤル式電話で、一周まわった「最先端」を味わってみては?
Rotary Cell Phone
Justine Haupt