伝説のポテチも現代人に順応!? 変化させたのは味ではなく…

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朝日新聞社

bouncy / バウンシー

「お箸つけますか?」
コンビニでポテトチップスを買ったら言われたこの言葉に、驚いた。
先日開催された「東京おもちゃショー2019」のタカラトミー・アーツブースで「スマートポテトチップス」を見たときのことだ。3年ほど前から、コンビニで耳にするようになったこの異質な問いかけのことを。現代人は、割り箸でポテトチップスを食べるらしい。編集部の若者によると、「(箸を使わないと)ゲームをやるときにベタベタになっちゃうじゃないですか」「スマホとか…」と、スマホやゲームをするときに手を汚さないように箸を使っているのだとか。
携帯電話やパソコン機器が、小さい頃から身の回りにある若者との世代差に驚いた。
こだわったのは、握力とタッチ圧
“何かをしながらポテトチップスを食べる”という、最近の風習を見て、インスピレーションを受けたのが、「スマートポテトチップス」の生みの親、太田さん(タカラトミー・アーツ)だ。東京おもちゃショーのブースにいた彼女から、開発秘話を伺った。
ーーー開発の経緯を教えてください
お箸や、マジックハンド型の、ポテトチップスを食べる専用のガジェットがあるのは知ってました。スマホを触りながら、もっと簡単にポテトチップスを楽しめないか、というで思い作り始めてから半年かけて完成させました。
ーーー通常のおもちゃは発案してから、どれぐらいで完成されるんですか?
私が担当したおもちゃは、だいたい2〜3ヶ月あれば完成することが多かったです。今回「スマートポテトチップス」は半年かかってしまいました。それは、色々な要因があるのですが、なかでもポテトチップスを握る力と、タッチペンの硬さの調整に、時間がかかりました。
ポテトチップスが割れないように、ソフトタッチで摘めるように握力を調整するのがなかなか難しかったです。さらに難しかったのが、タッチペンでした。様々な携帯電話でストレスなくタッチペンとして機能するようにするために、ペンの圧力調整や、人間の電気を伝える金属部分をどこにどれだけ埋め込むか、など何度も工場とやりとりして、何度も試作品を作り直して、やっと完成させました。そういった経緯で、かなりの日数を要してしましました。
ーーーこのおもちゃの、存在価値とは?
最近では、手が汚れるから、という理由でお菓子を食べないという声も聞きます。そういった流れを受けて、なくなって行ったお菓子もあるそうなんです。だから、このおもちゃを通して、お菓子をもっと美味しく、楽しく食べてもらえるようになればいいなと思っています。
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お菓子のレジェンドとも言えるポテトチップスも、“ながら生活”送る現代人に順応して変化をしなくては生き残れないかもしれない時代。しかし、変えたのは“味”ではなく、“食べ方”の方だった。そこには30年を超える、伝統あるポテトチップスを作り続けるカルビーの信念が見え隠れする。
変わりゆくライフスタイルに合わせて伝統あるものも、変化が必要になってくる現代。何を変えて何を変えないか、そこの選択を見ていくことで企業のあり方と信念を感じられる気がした。