見えなかった世界を見に行こう。ロービジョン者に“見える体験”を届けるプロジェクト「With My Eyes」

視聴回数805,329

※ 視聴回数は1日1回更新されます。
朝日新聞社

bouncy / バウンシー

視覚障害で日常生活に不自由さを抱えているロービジョン者の人口は、全世界に2.5億人、日本国内に145万人と推定されている。
「With My Eyes」は、そんなロービジョン者に“見える体験”を届けながら生活を豊かにすることを目指し、アイウェア開発会社のQDレーザが賛同企業9社とともに立ち上げたプロジェクトだ。
特殊なカメラ型デバイスで撮影に挑む
QDレーザが開発した「RETISSA SUPER CAPTURE」は、瞳孔を通って入射した微弱なレーザ光で、網膜に直接映像を描き出せるカメラ型デバイス。
「With My Eyes」プロジェクトの第1弾では、この「RETISSA SUPER CAPTURE」を使い、5名のロービジョン者が写真撮影に挑戦している。
会社員の秋葉茂さんは、ファインダーを覗いた瞬間「皆さんこういう表情されているんですね」と、インタビュアーの表情が見えることに驚いた様子で話した。
その後外へ出て人物撮影に挑戦。モデルの表情を自分の目で確認しながら撮影していく。
「やっぱり顔見て話せるのって嬉しいですよね。僕が声をかけて、こういう表情してくれてるんだって分かるから、すごく安心感があります」そう語る秋葉さんの頬には嬉し涙がつたっていた。
飛行機に乗って上空からの景色を撮影
プロジェクト第2弾では、賛同企業J-AIRの協力のもと、3名のロービジョン者が飛行機に搭乗し、上空からの写真撮影に挑戦。
パラアスリートの川井涼雅さんは、「視覚の不安が大きく飛行機で遠くへ行くことはあまりなかった」と話し、搭乗してからも緊張の面持ち。
しかしファインダーを覗き窓からの景色を目にすると、「自分ではこんなにくっきり見えないから不思議な感じ」と笑顔がこぼれた。
今ある生活に新たな価値をプラスしていく
ロービジョン者たちのインタビューと撮影の様子は、ドキュメントムービーとしてYouTubeで公開されている。
印象的だったのは、プロジェクトに参加したロービジョン者たちは、自身の視覚障害を必ずしもマイナスとは捉えていなかったことだ。
大学生の渡邊大貴さんは、「視力が悪い中で出てくる困り事を、自分で工夫して乗り越える作業自体が楽しいと思う」と語った。
ロービジョン者たちは「マイナスをゼロにする」のではなく、今ある生活に新たな価値をプラスしていくという姿勢で、「RETISSA SUPER CAPTURE」をとても楽しそうに使っていた。
そんな彼らの姿を見て、視覚障害だけでなく、日々の生活に何かしらの困難を抱えるすべての人に、前向きなメッセージを与えてくれるプロジェクトだと感じた。
・ ・ ・
困難に立ち向かう工夫と技術、そして一歩前に踏み出す勇気で、できなかったことができるようになっていく。「With My Eyes」のポジティブなメッセージを、ぜひドキュメントムービー本編で受け取ってほしい。
With My Eyes
QDレーザ「With My Eyes」