【震撼】ヒトとサルのキメラが成功したって本当?【眠れなくなるほど面白い 図解 生命科学の話】

視聴回数625,192

※ 視聴回数は1日1回更新されます。

ラブすぽ

 2021年、アメリカのソーク研究所と中国の昆明理工大学の共同研究チームが、ヒトとサルのキメラ胚を作製したという発表は、世界を震撼させました。カニクイザルの受精卵を培養し、そこにヒトのiPS 細胞を注入してキメラ胚を作製するというもので、まさにヒトとサルのキメラに成功したのです。もっともまだ培養皿での研究で、キメラ胚を子宮に戻したり子どもを誕生させることはせず、倫理的なリスクを避けるために、キメラ胚は受精19 日後に破壊されました。
 ヒトと動物のキメラの作製はすでに、臓器移植などの利用のために進められています。ヒトに近い霊長類のサルを使えば、ヒトの病気の再現がもっと正確になり、キメラをつくるための障碍をよりよく知ることができるという見方があります。でも、一歩間違えば、サルとの交配でヒトを誕生させることになりかねません。ヒトなのかサルなのかという「種」の境界がなくなり、ヒトの細胞をもたされるサルの側の問題も生じます。理論的には可能なことだけに、どこで歯止めをするか、倫理的な議論が早急に求められています。
出典『眠れなくなるほど面白い 図解 生命科学の話』
著:高橋祥子