未来のデリバリーに人はいらない?完全無人の配送用自動運転車「R2」

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朝日新聞社

bouncy / バウンシー

自粛生活が続き、Uber EatsやAmazonなどのデリバリーサービスを利用する機会が多くなったのではないでしょうか?そんなデリバリーですが、利用客の増加に伴う配送の遅れや人手不足による配達人の質の悪化など問題も噴出してきています。
そんな問題を近い未来に解決してくれるかもしれない自動運転車を用いたデリバリーサービスがアメリカの一部地域で試験的に行われています。その自動運転車は「R2」と呼ばれ、完全無人で運用されていることが最大の特徴です。
全米で初めて公道での利用を認められた無人の自動運転車
「R2」はアメリカのスタートアップ企業であるNuroによって開発されました。NuroはGoogleで自動運転の開発に携わっていたDave Ferguson(デイブ・ファーガソン)氏とJiajun Zhu(ジアジュン・ジュ―)氏の二人によって設立され、人ではなく物を運ぶ低速で走行する自動運転車のデザインに注力してきました。
そんな「R2」は2020年の2月に米運輸省(DOT)と全米高速道路交通安全局(NHTSA)から安全規定適用除外を受け、アメリカではじめて無人の自動運転車の公道利用が認められました。
また、2020年12月末には、カリフォルニア州にて自動運転車を公道に配備し商業的に利用することが可能になりました。つまり、運送料を貰って無人の自動運転車を用いたデリバリーサービスを展開できるようになったということです。この計画では最初に完全自律モードのプリウスから始まり、続いて「R2」が使用される予定です。
ハンドルやミラーはなし
「R2」は食料品や日用品などを無人で送り届けるために設計されています。前述した安全規定適用除外によって、人が運転するために必要なハンドルやサイドミラーを始めとするミラー類などが装備されていません。その省いた分の装備を荷物を積むためのスペースに充て、ミラー類はカメラやセンサーに置き換わっています。
車体はエッジが丸くなった形になっていますが、これにより道路を使うスペースが小さくなり、歩行者に配慮したデザインになっています。また、フロントガラスの代わりに衝突のエネルギーを吸収する特別なパネルが使われており、万が一、人や物と正面衝突した場合に事故の被害を小さくします。
車内にも工夫が凝らされており、前世代の車両から車幅を変更せずに2/3の荷物を積むスペースを確保し、鮮度を保つための温度制御機能が備わっています。
非接触で荷物を配送できる
元々は物流のラストワンマイルの配送(最終拠点からエンドユーザーへの配送のこと)を無人で行えるようにすることで、配送を効率的にするために開発されました。それだけでも物流界にとっては革新的ですが、コロナ禍の現代社会においては非接触で荷物の運搬をできるようになり、感染のリスクを抑えることができるという点で大きなメリットがあります。
また、医療品の配送も考えられており、コロナと戦う医療現場で感染のリスクを抑えながら医療品を運送することも考えられています。
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Amazonの普及や直近のコロナ禍での巣ごもり需要から物流はホットな業界ですが、同時に人手不足に伴う諸問題も深刻化しています。以前bouncyでは、日本で行われた自動運転ロボットによる配送サービスを取材しました。こちらの記事も合わせてお読みいただくとより今回の話を理解できると思うので、是非お読みください。「R2」のような無人の自動運転車が日本で配送を担う日はいつになるか分かりませんが、配備された暁には物流に革命が起こるかもしれません。

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