視聴回数2,867,293回
※ 視聴回数は1日1回更新されます。 「部長の今日のネクタイ、似合いませんね」――
身の回りにこのような感じで、誰彼構わず思ったことをストレートに言ってしまい、場を凍りつかせる人はいませんか?
これは、相手との関係性を考慮する、相手の感情を読みとることが苦手な「自閉スペクトラム症(ASD)」の人がやってしまいがちなことのひとつです。定型発達の人は、目上である会社の上司に、なぜそんな失礼なことを言うのかが理解できません。そのため、言われた本人も聞いていた人も「えっ!?……」と絶句してしまいます。
ところが、当の本人は「思ったことを正直に話しているだけ」ですので、部長をバカにしたり、おとしめたりといった悪気はまったくありませんし、失礼だとも思っていません。
「そんな失礼なことを言ってはダメだよ」と注意されると、むしろ「自分が見ている事実と正直な気持ちを伝えることの何が悪いのか?」となって混乱してしまいます。それが、自閉スペクトラム症の人の感覚で、「事実を指摘しているのになぜ問題になるのか?」その理由が理解できないのです。
そこで、人間関係を基準に注意するのではなく、「正直なことは悪いことではない」ことを伝えたうえで、「仮に事実だとしても言われることで傷ついたり、悲しい思いをしたりしてしまう人もいる」ということを説明しましょう。きっと理解してもらえるはずです。
【出典】『心と行動がよくわかる 図解 発達障害の話』
監修 : 湯汲英史