免疫力と睡眠は、深く関係しています。実際に、カリフォルニア大学で健康な164人の被験者に点鼻薬で風邪ウイルスを投与し、睡眠時間別の発症率を調べたところ、睡眠時間5時間未満の人たちは7時間以上寝る人に比べ、発症率がおよそ3倍にもなりました。睡眠には、細菌やウイルスに対する抵抗力、つまり自然免疫を強くする効果があるといえるのです。
また、不幸にして細菌やウイルスに感染してしまうと、獲得免疫が働き、発熱と睡眠を引き起こします。「風邪は寝て治す」としばしば耳にしますが、寝ているあいだに獲得免疫が働いていると考えると、睡眠は風邪の治し方として最適といえます。
さらに予防接種をしても、睡眠が十分でないと抗体反応が弱く、その効果が認められなかったという報告もあります。睡眠不足は感染症にかかるリスクを上げるだけでなく、感染からの回復も遅くさせてしまいます。
未知のウイルスの感染対策においても、十分な睡眠を確保して、免疫力を高めておくことが有効なのです。
【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 睡眠の話』
監修/西野精治