長崎県佐世保市の人気観光地「ハウステンボス」を左手に、国道202号を車で約10分。佐世保湾を望む海沿いの果樹園が広がる場所に、巨大な3本の塔が見えてきた。煙突かと思わせる異様な建物は、旧佐世保無線電信所(針尾送信所)。太平洋戦争開戦の真珠湾攻撃を命令する「新高山登レ 一二〇八」の暗号電文を発信したとされる場所だ。
高さ136メートルの3本の塔は、約300メートルの間隔で正三角形に配置されている。中央部分にある電信室は、中国大陸や東南アジアなどの海軍部隊への連絡に使われた。当時の先端技術で造られた鉄筋コンクリート製の塔は、1922年に完成。近年の調査によると震度6弱の地震に耐えられる設計で、築100年を超えても鉄筋の腐食やひび割れが少ないという。