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※ 視聴回数は1日1回更新されます。 これまで知能やパーソナリティといった、すべての心の動きに遺伝が影響していることを繰り返し述べてきました。では、「努力」もまた遺伝の影響を受けているのでしょうか。
「努力」という言葉は3つの違う事柄を指し示しています。ひとつめは「一定期間集中して行う努力」で、受験勉強などがこれにあたります。このタイプの努力は、IQや自己制御能力と同じように脳の前頭前野がはたらいていて、もちろんそこには遺伝の影響があります。
ふたつめは「どんなことでもコツコツやり続ける性格としての努力」で「勤勉性」と呼ばれるものです。これは外向性や同調性といったパーソナリティのひとつで、やはり遺伝が作用しています。さらに言うと、共有環境の影響はほとんど受けません。つまり、家庭で教えたり家族の姿を見て習得したりすることができないものなのです。
3つめは「遺伝的素質の現われとしての努力」です。これは、特定のことについてずっと考え、やり続けてしまう行動のことで、本人は努力と思っていないかもしれないのですが、周りの人にはすごい努力に見えてしまうのです。言わば、突出した遺伝的素質が作用したもので、一卵性で片方がこのタイプなら、もう片方も程度の差こそあれ似たタイプになるでしょう。
【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 遺伝の話』
監修/安藤寿康