視聴回数696,964回
※ 視聴回数は1日1回更新されます。 近親婚がよくないというのは、現在では各国共通の認識です。日本では3親等(叔父と姪など)以内の結婚は認められておらず、国によっては4親等(いとこ同士など)まで禁止されています。なぜ近親婚はダメなのでしょうか?
遺伝子の面から考えると、HLAがまず挙げられます。これのタイプが近い者同士で結婚すると、生まれてくる子の免疫に問題が出て、虚弱体質になる可能性があります。
ほかにも、先天性疾患や精神障害などの有害な遺伝子が表に現われてしまう危険もあります。こうした遺伝子は基本的には劣性で、通常は発現することがほとんどなく、また両親ともにこのような遺伝子を持っていることは稀です。しかし、近親者同士だと揃って有害な遺伝子を受け継いでいる場合もあり、子供に有害な体質を伝えてしまう可能性があるのです。
17世紀にスペインを治めていたハプスブルク家が、近親婚を繰り返した末、カルロス2世を最後に滅びたのは有名な話です。カルロス2世は、アゴが大きすぎるなど先天的な異常があり、歩行や学習能力にも難があったうえ、性的不能で跡継ぎをつくれませんでした。
倫理的な問題はさておき、生物として子孫繁栄に悪影響をもたらすのが、近親婚がよくないとされるいちばんの理由といえるでしょう。
【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 遺伝の話』
監修/安藤寿康