ポリジェニックスコアで将来の学歴がわかる時代に!?【眠れなくなるほど面白い 図解 遺伝の話】

ラブすぽ

 近年ではDNAの解析が飛躍的に進み、知能に関わる遺伝子を探す研究も始まっています。
 DNAはA、T、C、Gの塩基が並んだものですが、ひとつだけ別の塩基になっていることがあります。この違いをSNP(スニップ)、日本語で「一塩基多型」といいます。SNPは体質や特定の病気のかかりやすさといった個人差が生まれる要因とされています。つまり、ある形質について違いのある、膨大な人々のゲノム情報を解析して比較し、そこに関連性の高いSNPがあれば、その形質に関わる塩基と考えられるわけです。
これが「ゲノムワイド関連解析(GWAS)」で、見つかったSNPの効果量を数値化し、ある個人が持つ特定の疾患に関わるSNPの合計値を求めれば、その人の発症リスクなどを算出できます。このスコアを「ポリジェニックスコア」といいます。ポリジェニックスコアは疾患のみならず、パーソナリティ、スポーツ、芸術など、あらゆる分野で算出可能と考えられています。
 この研究において、知能の指標になりうるとして注目されているのが、学校教育を何年受けたかという「教育年数」です。教育年数に関連する遺伝子から算出したポリジェニックスコアの分布は、実際のIQの分布と有意な相関があることがわかったのです。さらに、職業、収入、反社会的行動などとの関連も報告されており、研究が進めば知能だけでなく、その人の未来も予測可能になるかもしれません。
【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 遺伝の話』
監修/安藤寿康