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※ 視聴回数は1日1回更新されます。 心の病気である依存症や精神疾患は、発症するかどうかは人それぞれです。たとえば同じようにアルコールを摂取していても、アルコール依存症になる人とそうでない人とがいます。この個人差にも、遺伝子が関わっています。
たとえば依存症では、アルコール中毒、喫煙、マリファナについての海外の論文によると、いずれも遺伝の影響が50〜60%と、それなりにあります。ただ、共有環境の影響もそれに次いでけっこうあります。アルコールやタバコなどの物質依存は、それが手に届くところにあることで起こるもの。身近に置いてあったり、親が口にするのを日頃から見ていたりすれば自分も始めてしまいやすいですが、これらが存在しなければ依存症にはなりません。もし遺伝的に依存症になりやすいようなら、対象物を身近に置かないなどの対策が大事になるわけです。
一方、精神疾患に関しては、統合失調症、自閉スペクトラム症、ADHDの3つでは遺伝の影響が80%ほどと、非常に大きく現われています。また、共有環境の影響は統合失調症以外はゼロで、家庭環境が関係ないことがわかります。持って生まれた遺伝的素質に加え、非共有環境が精神疾患の発症に関わっているといえます。
【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 遺伝の話』
監修/安藤寿康