キノコでできたカバンだと!?バイオレザーMyloを使った土屋鞄の挑戦

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朝日新聞社

bouncy / バウンシー

ランドセルの製造でよく知られる土屋鞄製造所。以前bouncyでも、花束をおばあちゃんに届けたい子どもの夢を叶えるカバン作りを記事にした。土屋鞄製造所は今回新たに、バイオレザーを使ったカバン作りに挑戦する。
バイオレザーを使ったカバンとは、キノコを素材にしたカバンだ。
キノコの菌糸体から繊維ができる?
キノコがなぜカバンの素材になるのか不思議に思うかもしれないが、キノコの菌糸体(菌が構成する、根のような糸状の組織体)の微細な繊維が集まることで素材になるのだ。
そもそもカバン作りの素材にキノコの菌糸体が使われることになった背景には、ファッション業界で毛皮や本革の使用が問題視されていることが挙げられる。10年以上前から一部のブランドは毛皮や本革を取るために動物たちの命が失われることを問題視し、毛皮を使用した製品を一切製作しないことも発表している。
キノコの菌糸体は、100%再生可能なエネルギーで稼働する、最先端の施設で生育される。生育に必要なものは、水と空気とマルチング材(菌糸体の生育時に培地の表面を覆うもの)のみで、環境に十分配慮されている。さらに、2週間足らずの短い周期で生育するため、安定した供給が見込まれている。
鞄づくりにもサステイナビリティを
土屋鞄製造所は、米国の「Bolt Threads(ボルト・スレッズ)社」と共に、新素材を使ったカバンを作った。Bolt Threads社は、キノコの菌糸体を用いたバイオレザー「Mylo」(マイロ)を開発している企業だ。
土屋鞄製造所は、「Mylo」を用いてハンディLファスナー(ミニ財布)、ランドセル、スクエアバッグ、スリムケース、バッグパック、ウォレットバッグの6つの製品のプロトタイプを開発した。
「Mylo」は柔らかな手触りと上質感のある風合いが特徴で、牛革に近い手触りをしているそうだ。さらに、加工によって柔軟性を持たせることが可能で、さまざまな製品に利用できる高い汎用性も持ち合わせている。
土屋鞄製造所の代表取締役社長である土屋 成範(まさのり)氏によると、「Mylo」を用いた製品は、土屋鞄製造所を知らない若者世代を特にターゲットとしているそうだ。
それらの世代はサステイナビリティに対する意識が強い傾向がある。だから、持続可能な世の中に貢献しながら事業活動をしていることを今回の事例を通じて知ってもらい、共感してほしいと語っていた。
6つのプロトタイプのうち、ハンディLファスナー(ミニ財布)は年内の販売を目指して改良が重ねられている。
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持続可能な社会を実現する素材は意外と身近にあるかも?