記録的な“気温上昇&小雪”にも負けずたどり着いた開幕日…さっぽろ雪まつり雪像製作の舞台裏で繰り広げられた奮闘記_『技術と情熱』の「職人魂」 北海道

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 2月4日に開幕したさっぽろ雪まつり。準備期間は、記録的な暖かさや雪不足に見舞われました。それでも、こぎつけた開幕の裏側には、関係者の高い技術と情熱がありました。
 1月7日から始まったさっぽろ雪まつりの大雪像づくり。大通10丁目会場で制作するのは、人気ゲーム「モンスターハンター」の最新作に登場する巨大モンスターの大雪像です。のべ900人ほどで1か月かけて制作しますが、2025年の雪像づくりは苦戦を強いられることに。
 「札幌市の幹線道路です。車道に雪は一切なく、道幅も広いため、車通りもスムーズです」(熊坂友紀子記者)
 2025年は雪が少なく、大雪像の制作期間中に降った雪の量は平年の半分ほど。さらに、大雪像を制作していた26日間のうち20日がプラス気温となり、記録的な暖冬となりました。
 「気温が上がっている影響で、大雪像の上の部分が解け始め、補修作業が行われています」(熊坂友紀子記者)
 暖冬の影響で大雪像が解け始め、完成予定日の2日前に補修作業を行う事態に。
 「今回は、作っても作っても形が崩れていくという大変さがある。彫刻をして線を入れたりするんですが、熱で解けていって線と線がつながったり、線自体が全くなくなったり、角ばったところが丸まってしまったり、きれいな形には残しづらい」(大通10丁目会場 吉川智成 制作隊長)
 雪像に積もった湿り雪を丁寧に払い、彫刻を急ピッチで修復していきます。 気温が上がって解けたときのことを考え、例年より多く雪を盛ったり、彫刻の深さも調整を繰り返しました。
 暖冬の影響は市民雪像にも。2023年に市民雪像の人気投票で2位に輝いたチームは、雪像の一部がうまく固まらないと頭を悩ませていました。
 「制作しているのは、『ダンダダン』というアニメに登場する“ターボババァ”という招き猫の格好をした妖怪。今回、焼きそばパンが出てくるので、凍らせて装飾しようと思っていたんですけど、なかなか凍って固まってくれないので、リアル感が出づらいんじゃないかと心配」(札幌塗装工業協同組合青年部会 玉手一成さん)
 キャラクターが手に持っている「焼きそばパン」の麺の部分。濡れたガーゼで雪をのり巻きのように筒状にする作戦を試みるも…。
 「あ~、これ、さっきより全然ダメっすわ」(玉手さん)
 完成まであと1日。試行錯誤が続きます。
 迎えた雪まつり当日。大通10丁目会場を訪れると、「モンスターハンター」の大雪像を見る客で賑わっていました。
 「この天候のわりには、いい出来で作れたんじゃないかと。完成したものを見ると、いろいろな苦労もあったけど、なんとか仕上がってよかったなという思いはある」(吉川智成 制作隊長)
 一方、招き猫の姿をした妖怪の市民雪像は…? パンの上に、見事に再現された縮れた焼きそばの麺が!
 「素手で棒状に固めていく作業をずっと続けました。手がかじかんで、大変な思いをしました。ターボババァというキャラクターだけでなく、台座の方まできれいに仕上がったので、お客さんには見ていただきたい」(玉手さん)
 記録的な気象条件に直面しながらも、なんとかたどり着いた開幕日。祭りの舞台裏には、制作隊の努力と工夫がありました。