「撮ってよかったのか」妻が携帯に残した大津波、伝える使命と葛藤と

視聴回数499,633

※ 視聴回数は1日1回更新されます。
朝日新聞社

朝日新聞

 高さ6.4メートルの防潮堤を越え、町をのみ込む大津波。土手の上を走る線路伝いに走って逃げる人たち。岩手県大槌町を襲った東日本大震災の津波の様子をとらえた一枚の写真がある。
 同町安渡地区に住む佐々木慶一さん(63)の妻、美代子さん(64)が自宅近くの高台から撮影した。
 慶一さんが美代子さんから写真を見せられたのは津波から約3週間後だった。「実はこんな写真があるんだけど」と、撮影した携帯電話の画面を見せられた。
 そこには防潮堤を津波が乗り越える瞬間が写っていた。美代子さんは「人が流されている状態で、自分は高いところにいてなんにもできなくて、そういうものを撮っていたことに後ろめたい感情があった」と話したという。