【男子大学生集団暴行死】事件から1か月 明らかになる若者6人の"素顔"…恋愛のもつれからなぜ 笑って暴行あおる交際相手 「ケンカに勝ったら服を脱がせる奴」 専門家「多数で被害者を支配」集団心理

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 北海道江別市で男子大学生が集団で暴行を受けて死亡した事件から1か月。
 恋愛のもつれが発端の事件ですが、明らかになってきたのは逮捕された若者6人の素顔と冷酷な行動の数々です。
 10月26日早朝、江別市文京台南町の公園で倒れているのが見つかり死亡した千歳市の大学生長谷知哉さん。
 服は脱がされた状態で何百回と殴られたり蹴られたりしたとみられる大量のアザが残されていたといいます。
 男女6人が逮捕。16歳から20歳までの若者でした。
 共謀して長谷さんに暴行を加え死亡させた疑いが持たれていてこの内の1人は長谷さんの交際相手の大学生八木原亜麻容疑者。
 さらに6人全員が11月20日までに強盗・詐欺・詐欺未遂・窃盗の4つの容疑で再逮捕される展開に。
 すべての事件の引き金になったとみられたのは「恋愛のもつれ」でした。
 2人の間のすれ違いになぜほかの5人が加わり残忍な事件にまで発展したのか。
 冷酷な行動に加え不可解な点が浮かび上がってきました。
 地元が同じく江別市内でバイト仲間だった八木原容疑者と川村容疑者。
 事件前から長谷さんと川村容疑者の交際相手の17歳の少年の4人は一緒に外出するなど交流もあったといいます。
 一方で残る16歳から18歳までの少年。
 川村容疑者らとは友人関係だったものの死亡した長谷さん、さらには共謀していた八木原容疑者とも面識がなく事件当日が初対面だったとみられています。
 見ず知らずの男らに交際相手が暴行されても八木原容疑者は笑っていたといいます。
 捜査関係者によりますと逮捕された一部の容疑者は長谷さんへの集団暴行の様子をスマートフォンで撮影。
 これ以降の行動についても事前に計画を立てたような痕跡はなく突発の行動の連続だったとみられています。
 長谷さんと無関係の少年らを含む容疑者6人による思い付きのような行動はなぜ連鎖していったのか。
 若者の犯罪心理に詳しい専門家は。
 「目的や意味を確実に理解していなくても暴力を振るってしまう。青少年の集団による暴力事件の大きな特徴だろう」
 「その時の雰囲気に飲み込まれるように暴行を働いてしまうようなこともある」(いずれも東京未来大学 出口 保行 教授)
 長谷さんに暴行を浴びせた6人。
 6人は暴行の最中に長谷さんからクレジットカードとキャッシュカードを強奪。
  八木原容疑者と川村容疑者は市内のコンビニへ向かい長谷さんから奪ったクレジットカードでたばこ30箱以上と食料品を購入していました。
 さらに暴行の中で長谷さんから衣服までも剥ぎ取った6人。
 容疑者の1人を知る関係者はこう証言します。
 「ケンカで勝ったら相手の服を脱がせる奴だった」(容疑者の1人を知る関係者)
 数時間に渡る暴行の末変わり果てた長谷さんを現場に放置し川村容疑者ら5人は車で逃走。
 
 さらにコンビニに寄り暴行中に長谷さんから聞き出した暗証番号を使ってキャッシュカードでATMから現金12万円以上を引き出していました。残高は数百円ほど。
 長谷さんの命に加え金品まで奪い尽くしその後カードや長谷さんの所持品を札幌市内の川へ遺棄したとみられています。
 「集団内での暴行はエスカレートをたどる。自分が当初想定していた以上に手を出してしまったり足を出してしまう」
 「被害者は『1人』。一方で暴行を加える側は『集団』。被害者を絶対的に支配しているような感覚に陥る。それが万能感のような『自分が圧倒的に強いんだ』『何でもできるんだ』という気持ちを呼び起こしたか」(いずれも出口教授)
 共謀による悪質性の高い行動が次々と明るみになってきた6人。
 強盗よりも罪の重い強盗致死罪適用の可能性はあるのか。
 「自然に考えれば強盗致死罪が成立する可能性が高いと思う。一連の暴行の中のどこかで強盗事件に発展したとしてもそれを全体としてひっくるめるというのが通常の考え」(磯部 真士 弁護士)
 成人の場合、法定刑が死刑・無期懲役に限られる強盗致死罪。
 直接手を下したことを否定する八木原容疑者についても。
 「その強盗行為をおこなったのが八木原容疑者自身でなくても、他の仲間たちがそのような意図や行為をしているという認識をして、その了解のもとでさらに犯行を継続したという状況があれば、八木原容疑者も共謀に基づく強盗致死罪が成立することになる」(磯部 弁護士)
 若者6人による凶行の裏には一体何があったのか。
 警察が全容解明を進めています。