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※ 視聴回数は1日1回更新されます。 筋線維には、速筋と遅筋のほかに実はもう1つ、速筋と遅筋の中間の性質を持つ、中間筋線維があります。そのわかりやすい例が、ボディビルダーのいわゆる「見せ筋」です。
美しく鍛え上げられた筋肉は、スポーツ選手より立派に見えます。ところが、腕相撲をするとボディビルダーが案外あっさり負けることも。その理由は、トレーニングの方法が違うからです。ボディビルダーは筋肉を肥大させるため、中程度の負荷の筋トレを何種類も何セットも多量に行います。続けていくと、太くたくましい筋肉に仕上がるものの、体内ではある変化が起きています。長時間の筋トレに耐えるため、速筋が遅筋化して中間筋線維に変わっていく。つまり、筋トレをやり過ぎると、見た目はよくなってもそれに見合う筋力が得られない可能性があるのです。
一方、スポーツ選手の筋トレの目的は、あくまで筋肉の出力を高めること。高負荷の筋トレを比較的短時間行い、筋力を上げつつ体重を増やし過ぎないのが一般的です。またスポーツは体全体を使うので、オフシーズンに筋肉を増やしたあと、全身の筋肉の協調や連動を養います。スポーツの発想とボディビルの発想は、実は真逆なのです。健康的で若々しい体のために選択すべきはボディビル的方法ですが、ただし種目数や回数などをおさえて適度に行い、適量の筋肉を獲得します。
【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 筋肉の話』
著/坂詰真二