正代しこ名「変えるつもりない」大関昇進へ本名貫く

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日刊スポーツ

正代は「正代」を貫く。大相撲秋場所で13勝2敗で初優勝し、大関昇進を確実にした関脇正代(28=時津風)が28日、東京都内の部屋からリモートで一夜明け会見に臨んだ。本名のしこ名は大関昇進後も「変えるつもりはない」と明言。5人目の「本名大関」となる。口上は稀勢の里(現・荒磯親方)にならい、シンプルな言葉で決意を伝える考えを示した。
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重圧から解き放たれた正代は熟睡した。千秋楽前夜は明け方5時すぎまで眠れず、睡眠時間は2時間程度だった。「緊張感から解放された感じですね。だいぶグッスリ眠れたと思う」。心地よい眠りに落ちた。
しかし、新たな緊張が押し寄せる。30日に大関昇進を諮る臨時理事会が開催され、伝達式が行われる運び。注目の口上について「いろいろ考えてますけど、まだ決めかねてます。いくつかの候補の中から、どれが自分に当てはまるか」。その上で、心に残る口上に元横綱稀勢の里を挙げた。
稀勢の里は大関、横綱昇進時ともに「精進します」の簡潔な言葉で決意を伝えた。その印象が強いという。「稀勢の里関の『精進』はすごくシンプルで大事な言葉だなと自分の中で感じました」。場所前はなかった昇進の機運。初優勝で一気に高まり、現実となる。正代は「今まで以上に負けられない地位。責任が伴う。今まで以上に“精進”しないといけない」と言った。現状に甘んじることなく、さらに進む。その思いはピタリ合致する。
双葉山が創設した時津風部屋からの新大関は、63年春場所の豊山以来57年ぶりとなる。名門部屋ならではのしこ名もあるが、正代は「変えるつもりはないです」と本名を貫く。ある統計サイトによると、全国で約380人しかいない珍しい名字。その由来は「海賊」という説もある。父の巌さん(60)は「確かにそういう説はありますが、何とも分からない」と話し、真相は分からない。
正代も「珍しい名字。このしこ名で定着しているし、頑張っていけたら」と誇りを持つ。「本名大関」は5人目となるが、「本名横綱」は輪島だけ。さらに上について正代は「大関に上がって実績を積んでから。活躍するのが先」。ただ、大関に上がった瞬間から「横綱正代」への戦いは自然に始まる。【実藤健一】
○…正代の「初優勝&大関昇進」を祝す垂れ幕は、10月1日に故郷の熊本・宇土市役所に掲げられる予定だ。30日の昇進伝達式を受けて行う計画で、同市スポーツ振興係の担当者は「祝う形の文言を入れた垂れ幕の準備を進めています」。祝賀パレードも実施へ向けて動いているが、実現するかは微妙。「計画しようとしていますが、まだ出来るか分からない」と語った。
◆正代姓 名前や名字に特化したアプリなどを開発、運用するリクルーティングスタジオ(本社・千葉県市川市)のアプリ「名字由来net」によると、名字の全国ランキングで1万5001位で全国に約380人いる。正代の地元・熊本や隣県の福岡に多数みられるとしている。1位の「鈴木」は約187万人。
◆本名大関 過去に本名のまま大関に昇進したのは、輪島、北尾、出島、高安の4人。輪島は昇進目安の「三役で3場所33勝」を72年秋場所で達成して昇進。自身2度目の優勝を果たした73年夏場所後には、本名のまま横綱に昇進した。北尾は86年名古屋場所後に横綱昇進した際、立浪部屋の先輩横綱、双葉山と羽黒山にちなんで「双羽黒」に改名。出島は99年名古屋場所で初優勝して大関に昇進し、大関を12場所務めた後に平幕に陥落。高安は17年秋場所で昇進目安を達成して昇進。15場所務めたが、平幕に陥落した。
◆稀勢の里の口上 11年九州場所後に大関昇進。伝達式では「謹んでお受けします。大関の名を汚さぬよう精進します」と述べた。初優勝した17年初場所後に横綱昇進した際の伝達式では「謹んでお受けします。横綱の名を汚さぬよう精進します」と大関昇進時と同じく、簡潔な言葉に思いを込めた。