「強い流れでも鮮明な画像…」無人潜水機“はくよう”が調査開始 海底からカズワン引き揚げは来月以降か

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北海道知床半島沖で26人を乗せた観光船が沈没し14人が死亡、12人が行方不明となっている事故。
 民間の作業船が船の沈んでいる海域に到着し、無人潜水機による調査が行われました。
 5月8日から始まった無人潜水機「はくよう」による観光船「KAZU1(カズワン)」の調査。
 民間の作業船「新日丸」が無人潜水機を水中に沈め、約115mの海底に沈んだ「KAZU1(カズワン)」を水中カメラで、様々な角度から撮影しています。
 行方不明者の捜索を優先しながら、船体の引き揚げに向けて調査を進めるということです。
 無人潜水機「はくよう」を使う利点について、明治国際医療大学の教授で水難学会の木村 隆彦 事務局長は。
 水難学会 木村 隆彦 事務局長:「強い流れの中でも鮮明な画像が撮れる。そこが一番のメリット」
 海上保安庁が5月8日公開した、無人潜水機が撮影した写真です。
 船体に書かれた「KAZU1(カズワン)」の文字がはっきりと確認できます。
 水難学会 木村 隆彦 事務局長:「まだ公開されていないが、たとえば船の状態。傷があるか、壊れているか。一番の問題になると思う。このあと続く潜水作業、どのような形で船を安定した状態で引き上げるか。ある程度の予測がたつと思う」
 船体の調査が終わると、次は船の引き揚げです。
 水難学会 木村 隆彦 事務局長:「今月できればいいほうだと思うが無理だと思う。かなり(長い)スケジュールを組むと思う。用意周到に準備する。なかなか簡単な作業でない」
 観光船「KAZU1(カズワン)」は約115メートルの海底に沈んでいて、気圧は地上の約12倍です。
 潜水士の体を水圧に慣らす必要があるため、活動を始めるまでに時間がかかるということです。
 今後は別の作業船も合流し潜水士の海底での作業が予定されています。
 残る12人の捜索は北方領土の国後島周辺まで範囲を広げて続けられていますが、新たな手掛かりは見つかっていません。
 捜索の参考になりそうなのが水難学会が9日に公開した「漂流予測」です。事故が起きた4月23日から5月7日までの潮の流れが示されています。行方不明者が発見された部分と重なっていて、国後島の近くまで流されている可能性があることが分かります。行方不明者の捜索はこの周辺でも行われています。