知床観光船沈没 まもなく1か月 献花台には全国から"740束の花束"「早く家族の元に」願いと祈りこめ

UHB北海道文化放送

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北海道知床半島沖で26人を乗せた観光船が沈没してから、まもなく1か月を迎えます。
 斜里町に設けられた献花台には、花を手向ける人の姿が絶えません。そこにはどのような思いが込められているのでしょうか?
 滝川市から訪れた人:「1日でも早く家族の元に帰っていただきたい。それだけ願っています」
 札幌市から訪れた人:「気の毒ですよね、かわいそう。早く見つかって大好きな人たちと会えればと…」
 献花台には、5月19日も多くの人が訪れています。
 田中 うた乃 記者:「沈没事故から、まもなく1か月が経とうとしています。斜里町の献花台には全国から700以上の花束が寄せられています」
 事故の2日後に献花台が設置されて以来、5月18日までに寄せられた花束は740束に上ります。
 ひとつひとつの花束にこめられたさまざまな思い。
 
 5月1日。美幌町から家族5人で訪れ花を手向けた人は。
 美幌町から訪れた人:「うちも同じ年ごろの子どもがいるので、知床に来ることあれば、お花供えたかった」
 沈没した「KAZU1(カズワン、19トン)」には2人の幼い子どもが乗船したとみられています。
 そのうち、3歳の女の子は発見されましたが死亡。
 供えられた花の中には、ぬいぐるみや菓子が添えられたものも。
 美幌町から訪れた人:「7歳の子が見つかっていないじゃないですか。早く見つかってほしいなと思い、みんなでお参りさせていただきました」
 兵庫県から訪れた人(5月11日):「知床の自然が好きで(乗客は)楽しみにして来たのに、残念な形になってしまった。自然に魅了される1人として、いち早く見つかってほしいなという思いで、足を運びました」
 兵庫県から訪れた40代の会社員です。
 世界遺産の知床の自然に魅了され、この2年で10回ほど訪れています。
 今回の事故で再認識したことがありました。
 兵庫県から訪れた人:「あらためて自然の厳しさを感じました。魅力である一方、本当の自然は厳しいものであって、その中の人間は、はかないもの」
 寄せられた花を少しでも長くきれいな状態に保とうと、手入れをしている人たちがいます。
 斜里町の職員が毎日2回、地元の生花店の協力を得て、花束を水が入った容器にアレンジメントし直しているのです。
 斜里町職員 茂木 千歳さん:「献花には14名のお亡くなりになった方々への哀悼の意が込められているのと、12名の方がいち早く家族の元に帰られるようという思いが込められて献花として表れている。その思いが届くように手入れさせていただいています」
 全国からの思いが込められた祈りの花束。遠くは沖縄県から寄せられたものもありました。
 斜里町職員 笠井 孝弘さん:「我々にできることは限られていますが、気持ちに寄り添った形の対応に努めていきたい。献花台を維持していきたいと考えています」
 沈没事故からまもなく1か月。町では今後も献花を受け付けるということです。
 (KAZU1の「ワン」は正式にはローマ数字)