ホッケー・清水美並の華麗な球さばき 金メダルへ3Dドリブルで空間を制する

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 平面だけではなく、空間で球を操る。
 それが、ホッケーの「3Dドリブル」だ。
 日本女子代表「さくらジャパン」で、この技の一番の使い手であるFW清水美並(26)が、そのメリットを語る。「最短距離でシュートまで持っていける」
 長さ100センチほどのスティックでプレーするホッケー。コンパスで円を描くように腕を伸ばし、スティックの届く距離が、その選手の守備範囲となる。球を地面に転がす普通のドリブルだと、その範囲から逃げるように進むことになる。
 3Dドリブルは違う。球を空中に浮かせ、行く手を阻むスティックの上を越えて相手の脇をすり抜けられる。2020年東京五輪に向け、清水はこう考える。「外国の選手はリーチが長い。平面で抜こうとすると、すごく大回りしなければならない。3Dドリブルなら、相手の守備範囲内を最短距離で抜いていける」
 なぜ、最短距離にこだわるのか。ホッケーの得点は、ゴールから半径14・63メートルのサークルの中からシュートした場合しか認められない。守備を固められる前に速攻を仕掛け、1秒でも早くサークルに入れるかが攻防を分ける。そのために3Dドリブルはもってこいの技術なのだ。
 東海学院大時代から速さと技術に定評があった清水。お手玉のようにスティックで球を扱う遊び感覚のリフティングも得意だった。16年のリオデジャネイロ五輪前後から世界で流行し始めた3Dドリブルに、日本ではいち早く取り組んだ。実戦で使いこなせるようになると、日本代表に欠かせない存在に。今、自主練習のほとんどをその特訓に費やし、磨きをかける。
 技の肝は、1回、球を浮かした後の2タッチ目だという。相手の体勢、その背後の守備陣形を瞬時に確認し、左右のどちらへ抜くか判断。止めに来る相手スティックの上を球が越えるようにたたいて運び出す。自身が相手と横並びになったら、さらに加速して抜き去るのがポイントだ。
 リオ五輪で代表を、今は清水が所属するソニーHCを指揮する永井祐司監督は「他の選手は球を浮かす時にスピードが落ちるが、清水にはそれがない」と評する。
 17年から代表を率いる強豪・豪州出身のファリー監督の下、18年にアジア大会で初優勝するなど、さくらジャパンは進化中。東京五輪での金メダル獲得をめざし、監督は3Dドリブルの習得を選手全体に求める。手本となる清水の技は、日本の大きな武器になる。「私の3Dドリブルを生かして得点を奪い、チームに貢献したい」と本人は自覚する。
 空間を制し、勝負を制する。(勝見壮史)
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〈清水美並〉 1993年生まれ、滋賀県出身。滋賀・伊吹高から東海学院大を経て、2016年からソニーHC所属。日本リーグでは18年に得点王に輝き、同年のリーグ5連覇、全日本選手権7連覇に貢献。日本代表は15年に初選出され、16年リオデジャネイロ五輪に出場。18年アジア大会で優勝。コーヒー好きで趣味はカフェ巡り。