黄砂の原因、ゴビ砂漠の砂嵐に突入 偶然遭遇した研究者が動画撮影

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黄砂の原因となるゴビ砂漠の砂嵐を地上から鮮明にとらえた動画が、日本気象学会のオンライン論文誌で公開された。砂ぼこりが高く舞い上がる巨大な「ダストの壁」が道路に押し寄せ、車が吹き荒れる砂粒に包まれる様子がおさめられている。砂嵐を目の前でクリアに撮影した動画は珍しいという。
 撮影したのは、黄砂などを研究する甲斐憲次・名古屋大名誉教授(気象学)ら。2019年4月28日午後5時前(現地時間)、モンゴルの首都ウランバートルの南南西約400キロのゴビ砂漠に近い地点を車で走行中、数キロ先に「ダストの壁」を発見。手持ちのデジカメや気象観測装置などで観測を始めた。映像から推定した壁の高さは約600メートル、砂嵐の中の最大風速は秒速18・2メートル、視界は10メートル以下だった。
 甲斐さんはゴビ砂漠に大気中の微粒子を調べる観測機器を設置し、2013年から現地観測を続けている。一帯は砂嵐が多いエリアで、悪天候のときにいつの間にか砂嵐の中に入っていることはあったが、好天時に砂嵐に出あうことはなかったという。「ダストの壁をじかに見るのは私も初めて。まったく予期せぬ遭遇で、幸運でした」
 当時の気象条件や衛星観測データなども精査し、1年以上かけて論文にまとめた。一帯がゴビ砂漠の中でも地形の影響で砂嵐が特に起きやすくなっている「ホットスポット」ではないかとの仮説を提唱している。動画や論文はオンライン論文誌のサイト(https://www.jstage.jst.go.jp/article/sola/17/0/17_2021-023/_article/-char/en別ウインドウで開きます)で公開されている。