自家製毛生え薬は不毛の光 家族はげまし毛は生えず

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生(は)えぬなら、生やしてみよう夫と義父(オットトギフ)――。
 家族を巻き込み、作り続けて1千種近く。花の種やスパイス、山菜。家に並ぶ瓶には数々の植物や食材が漬けられている。保存食ではなく夫の頭に塗る、自家製毛生え薬だ。
 神戸市長田区の竹内洋子さん(66)の毎日はこう。蜂蜜色の瓶を手に「ミミズのエキスが入ってんねん」。洋子さんが試作し、夫が実験台として頭を差し出すが「寝てる時、知らん間にやられんねん」(夫)。喜劇の芸人みたいな一家だ。
記事の後半では、京大変人講座ディレクターの越前屋俵太さんが語ります。
 きっかけは26年前の阪神・淡路大震災。前日に建て替えたばかりのそば店は壊れ、義母を失った。落ち込む義父に笑ってほしくて、できることを考えたが、お金はなく……。
そこに頭があるから
 ある日、肩もみをしてあげると、後頭部の薄毛が目に入った。「そや、目の前のことからしよ」。増毛を願う義父のために、育毛剤を手作りすることにした。
 理系の知識はない。金魚鉢の藻、トウモロコシのヒゲ、空豆の産毛、ネコヤナギ、コショウ。家や道端にあるモジャモジャや刺激系の材料を主婦の勘で集めては、オリーブ油や酒に漬けて瓶詰め。片っ端から頭に塗り込んだ。
 効果は表れず、増えたのは頭のテカりとくっついてくる虫。もっと手広く試そうと、同時多発作戦にも乗り出した。義父の頭を田の字の水田に見立て、一度に4種の材料を塗る。時短にはなったが、自生には至らなかった。