「中国はいじめっ子」 豪州ワイン、巨大市場脱却めざす

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オーストラリアと中国の政治的な緊張が続くなか、中国政府が豪州産品の輸入にブレーキをかけ続けている。中国の巨大市場を背景にした圧力とみられるが、豪政府が屈する気配はない。豪州の業界は打撃を受けつつも、中国依存からの脱却に重心を移し始めた。(ハンターバレー〈豪南東部〉=小暮哲夫)
 シドニーの北約150キロに位置するハンターバレーは、豪州で最も古いワインの産地として知られる。150ほどあるワイナリーの一つ、1858年創業の老舗ティレルズは1月下旬、併設する農園でブドウの収穫を始めていた。小粒の果実が次々と摘まれていく。
 昨年は豪全土に広がった森林火災の煙害でブドウが収穫できず、ワインの生産もできなかった。2年ぶりの収穫は朗報だが、ブルース・ティレル社長(69)の表情は厳しい。
 中国が昨年11~12月に豪産ワインに最高で計218%の関税をかけ、同社の輸出の25%を占める中国向け販売が止まったためだ。4~6月にはコロナ禍でワイナリーの閉鎖も余儀なくされただけに、ティレル社長は「この18カ月はこれまでで最も厳しかった」と話す。
 打撃は業界全体に及ぶ。中豪間で2015年12月に自由貿易協定(FTA)が発効し、中国が豪産ワインに課していた14~20%の関税は19年1月にゼロになった。以来、中国向けのワイン輸出は年12億豪ドル(約960億円)と5年で3倍に増え、輸出の39%を占めていた。