13歳が挑む、びびったら即転倒の一発技 スケボー女子・織田夢海は五輪出場なるか

朝日新聞デジタル

 スケートボード女子には、現在13歳でオリンピック(五輪)に手が届く位置につける選手がいる。ストリートの織田夢海(ゆめか)(ムラサキスポーツ)。今、力を入れている技が「フリップフロントボード」だ。
 坂道を下りてスピードに乗る。上り坂に設置されたレールへと向かい、ジャンプ。1回転させた板を両足で吸い付けるようにとらえる。すぐさま腰をひねり、レールに板を滑らせて、着地。わずか1秒程度の間にいくつもの動きが詰め込まれている。
 板を縦に1回転させる「キックフリップ」と、板の中心部をレールにかけて滑らせる「フロントサイドボードスライド」を掛け合わせた技だ。
 東京五輪で初めて採用されるスケートボード。ストリートは、坂や階段、手すりのような構造物を模したコースで実施される。45秒間の自由演技「ラン」を2回、一発技の「ベストトリック」を5回の計7回すべて10点満点で行い、そのうち上位4回の合計点で競う。
 一つ一つの技に決まった点数はないが、高得点を狙うには、二つ以上の技を合わせた複合技を成功させることが不可欠になっている。
 織田は1年半前にフリップフロントボードに取り組み始めたが、昨春、練習で左足首を捻挫した。転倒などへの怖さが増し、一度は習得を諦めた。
 転機となったのは昨年9月の世界選手権。決勝でミスを重ねて8位だった。難しい複合技を成功させるトップ選手との差をまざまざと見せつけられた。「びびっていられない」。今年に入り、練習を再開した。
 成功のポイントは大きく二つ。スピードを十分につけて、高くジャンプすること。そして体勢を崩さずにレールの上に乗ること。「体が縮こまると、バランスを崩して転んでしまう。空中で体の軸をまっすぐに保たないといけない」。専属のコーチはおらず、男子選手の映像や、両親が撮影した自分の練習動画を見て修正を繰り返す。
 現時点で練習での成功率は50%程度だが、大会ではさらに低いという。コースは大会ごとに異なり、普段練習しているレールよりも高いことが多いからだ。
 日本代表の早川大輔コーチによると、女子でこの技ができるのは世界で5~10人だが、大会で安定して成功するのは1人か2人という。「織田はスピードはあるが、高さに不安がある。ジャンプ力がつけば、確率は上がる」と分析する。
 名古屋市出身の織田は、スケートボードを始めて6年だ。「最初は技ができるようになるのがただうれしかった。でも、最近は難しい技が増えて、けがするのではという怖さもある」と打ち明ける。今も「フリップフロントボード」に練習で取り組む前には、心身の準備に30分以上を費やす。
 母の草(かや)さん(41)は「とにかく負けず嫌い。うまくいかずに泣くこともたくさんあるけど、なんとか最後までやり遂げようとする」と話す。本人は「練習しないと成功率も上がらない。勝つために、今は頑張るだけ」。
 伸びしろ十分な中学2年生にとって、五輪までの時間が1年増えたことは、プラスになるはずだ。(岩佐友)
スケートボードの試合とは
【試合形式】
 スケートボードのストリート種目は街中にある階段や手すりのような構造物を模したコースで実施される。45秒間の自由演技「ラン」を2回、一発技の「ベストトリック」を5回行う。
【採点方法】
 審判員5人がトリック(技)の難易度や独創性、スピード、全体の構成などを考慮して10点満点で採点する。最高点、最低点を除いた3人の平均点がその演技の点数となる。7回のうち高得点だった4回の合計得点で順位を競う。
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 織田夢海(おだ・ゆめか) 2006年生まれ、愛知県出身。7歳でスケートボードを始める。2019年のストリート世界選手権で8位。世界ランキング11位。趣味はYouTubeを見ること。身長151センチ。