エクモ病棟に張り詰める空気 医師らが直面する苦悩とは

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新型コロナウイルス患者の命を守る「最後の砦(とりで)」とされる装置、ECMO(エクモ)(体外式膜型人工肺)。現場の医師たちは2度目の緊急事態宣言下で懸命な治療活動を続ける中、ある葛藤を抱えていた。長期化するコロナ禍が、医療のあり方に重い課題を突きつけている。
 ベッドにうつぶせで横たわる新型コロナ患者の手の指が、かすかに動いた。布団から伸びた2本の赤い管が、装置につながる。
 1月下旬、エクモ治療で全国有数の実績がある福岡大学病院(福岡市城南区)のECMOセンターを記者が訪ねた。コロナの重症患者が入る集中治療室を、病院の許可を得て廊下からガラス越しに取材した。
 「機械に依存した状態で生命を維持しています」。案内してくれた星野耕大・副センター長(36)は、患者の状態をそう説明した。福岡県内に住む50代の男性で、当時は入院して1カ月が経過。腎臓の機能が低下したため透析もしていた。
 患者の首と太ももの付け根に刺さった親指ほどの太さの管から、1分間に3~5リットルの血液をポンプで装置に送り込む。人工肺の膜を通して血液中の二酸化炭素を除き、酸素を供給して体内に戻す。肺の機能を代替しながらコロナウイルスに侵された肺の回復を待つ。
 治療は短くても2週間。長いと2~3カ月かかり、高齢になるほど長期化しやすい。患者は最初、麻酔をかけられていることが多いが、病状が良くなれば意識が戻った状態でエクモが使われる。自発呼吸ができないため、人工呼吸器は外せず会話はできないが、容体が安定していれば、ゼリーやプリンなどの食事や読書、医療スタッフとの筆談もできる。