永作博美・井浦新、河瀬直美監督の“役積み”を語る「罠なんじゃないかと…」

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シネマトゥデイ

女優の永作博美が6日、都内で行われた河瀬直美監督最新作『朝が来る』(10月23日公開)の完成報告会見に出席し、独特な演出スタイルの河瀬監督との撮影を振り返った。
本作は、2016年に連続ドラマ化もされた直木賞作家・辻村深月の小説を映画化。特別養子縁組によって男児を迎えた夫婦と、子供を手放した幼い母親の葛藤を描くストーリーで、2020年カンヌ国際映画祭公式作品「CANNES 2020」にも選出された。会見には河瀬監督、共演者の井浦新、蒔田彩珠、浅田美代子も出席した。
永作と井浦は子供に恵まれず、特別養子縁組の制度を通じて男児を家族に迎え入れる栗原佐都子(永作)と夫の清和(井浦)という夫婦役で共演。永作は河瀬監督の演出を受けた感想を問われると、役者に対して考えさせて演じさせるという演出スタイルが印象的だったとのこと。「何かを要求するというより無言の圧でした。わかっているよねって。考える時間があって、じゃあやってみようって。こうしてください、ああしてくださいと指示するのが監督の仕事という人が多い中、監督はわたしに考えろって。じゃあ一緒に考えようって」
一方、井浦はクランクイン前から特別養子縁組や無精子症について学んでいく“役積み”の作業を経験。「順撮りで撮っていってくれるので、(物語の中の)一日一日の積み重ねのよう。その中で自然と心の動きも変化していった。心を動かしながら演技をすることを大切にしていました」とコメント。河瀬監督には「常に追い込まれていました」と言い、「監督が真剣に映画作りに取り組んでいるからこそ、そうなる。(役に入り込んで現場で)呆然として座っていると横に座ってくれたり、大変なシーンを投げるだけでなく、心のメンテナンスもしてくれた。本当に丁寧で、これが演出なんだなって。安心しながら全身捧げていました」と独特の演出スタイルを振り返る。
望まぬ妊娠をし、子供を手放した14歳の母を演じた蒔田は「監督は厳しかった?」と問われると、「ふと光が抜けてしまった時に主題歌を耳元で流してきたり、今までの撮影の写真を見せて『こういう感じだったよね』って。作品の世界に引き戻してもらえる感じでした」と熱心な河瀬監督の様子を紹介。
その河瀬監督は「現実を生きている人の中に俳優がいるのは違和感。それくらい馴染んでもらわないといけない。そこへいくまでの導線はやってもらわないと」と役者が役になりきれるよう考える時間を設けたり、ヒントを与える作業を進んで行っていたとのこと。また本作の公開が新型コロナウイルスの影響で約4か月延期されたことに触れ、「一旦は長いトンネルの中に入ってしまいましたが、またこうしてみなさんの前に出せることが嬉しい」と感慨深げ。「最後まで見飽きることのない映画になっていると思います」と自信を見せた。
イベント終盤、子役の佐藤令旺が登壇者への花束を手に登壇。河瀬監督の前で「特別発表」と題し、本作が世界25か国で公開されることを発表した。