道端でヒナを見つけても「拾わないで!」

視聴回数1,914,004

※ 視聴回数は1日1回更新されます。
(c) Nippon News Network(NNN)

日テレNEWS24

この時期、「野鳥のヒナは拾わないでください」という呼びかけが、ネット上などで多く見られる。なぜ、ヒナを拾ってはいけないのか、専門家に話を聞いた。
地面で鳴いているのはスズメのヒナ。親鳥を探しているようだ。かわいそうだと思っても、ヒナはこのまま。なぜなら近くに親鳥がいるからだ。
ヒナが鳴いているのは、人通りが多い場所の建物の隅だ。親鳥は周囲の様子をうかがっている。くちばしにはエサがある。地面にいるヒナを近くで見守りながら、タイミングを見て、ヒナの元へ向かいエサを与えた。夢中でエサを食べていたヒナだが、親鳥が離れたことに気づくと、また鳴き始めた。今度は、親鳥が建物の陰に隠れるように促す。この場所で子育てが続くのだ。
ヒナが親鳥から巣立つまでは、2週間から3週間だ。この期間に、飛び方やエサの捕り方など、自然界で生きていく全てのことを学ばなくてはならない。
落ちているヒナの多くは、飛ぶ練習中やエサを探している最中だ。1羽だけに見えても、近くに親鳥がいる。この時にヒナを拾ってしまうと、親鳥と引き離すことになり、ヒナは自然界で生きる術(すべ)を教わることができなくなる。拾った野鳥を自然界に返しても、長くは生きられない。
巣立ち前のヒナが、兄弟鳥に巣から追い出されて地面に落ちてしまうこともある。カラスや猫に襲われることもある。しかし強い鳥が生き残るのは自然界のサイクルだ。
日本鳥類保護連盟・普及啓発室の岡安栄作室長「他に食べられてしまいますけど、その食べられた先のヒナたちが大きくなって次の世代に命を残せるということですので、自然界には無駄な命はないということを知っていただければと思います」
春先から初夏にかけてが野鳥の子育てシーズンだ。ポスターなどで20年以上呼びかけても、正しい理解は広まっていない。
野鳥を飼育することは法律でも禁止されている。ヒナは拾わず見守ってほしい。